普及版 字通 「質(漢字)」の読み・字形・画数・意味
質
常用漢字 15画
(異体字)
17画
[字訓] なる・ただす・したじ・かたち
[説文解字]
[その他]
[字形] 会意
(ぎん)+貝。貝はもと鼎の形。二斤(きん)(手おの)を以て鼎側に銘刻を加える意で、重要な契約や盟誓の辞などを記した。これを約剤・質剤という。剤の正字は劑。齊(斉)は(せい)で方鼎、その方鼎に銘刻を加えることを劑といい、質と立意の同じ字である。〔説文〕六下に質を「物を以て相ひ贅(ぜい)す」とあって、質入れすることをいうとするが、それは字の初義ではない。〔説文〕は字が、二斤に従う意を解しえず、その義を闕としているが、劑・則(古くは)の字形によって、その意を解くことができる。それより質要・質剤・法則などの意となる。〔周礼、天官、小宰〕「官府の」のうち、「七に曰く、賣買を聽くに質劑を以てす」、また〔周礼、地官、質人〕に「大市には質を以てし、小市には劑を以てす」とみえる。質は訓義の多い字であるが、質剤の義が本義、他はその引伸義である。
[訓義]
1. なる、なす、さだめる、鼎に銘刻して約する。
2. ただす、約に従って事の正否をただす、たしかめる。
3. よい、ただしい、あたる、まこと。
4. すなお、つつしむ、よい。
5. もと、ことのもと、本質、材質。
6. かる、抵当物を入れてかる、しち、しちにおく、保証とする、てがた、わりふ。
7. 名詞として、まと、質的、きりだい、刑具、椹質、しきり、門のなかじきり、木椹、いしずえ、基礎、柱質、かたな、おの、にぎり、弓拊(ゆづか)。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕質 セチ・ミ・カタチ・タヒラカニ・ムクロ・モト・スナホ・フミ・オノレ・シロ・ナホシ・ナル・ナス・カフ・タダス・タダシ・ムカヘリ・サヤマキ 〔字鏡集〕質 ノブ・タダス・ムクロ・トク・モト・タヒラカ・マサシ・シロ・スナホ・ナス・ニヘ・マウス・ムカフ・カタチ・ツツシム・スガタ・ヲノレ・ナホシ・ムカヘリ・カフミ・マコト・トブラフ・サダム・タダチ・ココロミル
[声系]
〔説文〕に質声として・躓の二字を収める。は野人の言で質朴の意、躓(ち)は「(つまず)く」意で、椹質などの質の声義を承ける字である。
[語系]
質・贄tjietは同声。執tjiapも声が近い。盟誓などのために、執って遣るものを贄といい、また質という。贅tjiuatも声義の関係があり、人質として供するものを贅という。〔説文〕六下に「物を以て錢を質(か)る」とあるのは典当、いわゆる質入れで、この意に用いるのはその引伸義である。
[熟語]
質挙▶・質銭▶・質典▶・質布▶・質物▶・質舗▶・質闇▶・質奥▶・質愨▶・質幹▶・質簡▶・質疑▶・質義▶・質究▶・質勁▶・質券▶・質倹▶・質験▶・質言▶・質古▶・質庫▶・質行▶・質厚▶・質剤▶・質士▶・質実▶・質譲▶・質信▶・質真▶・質審▶・質仁▶・質訊▶・質性▶・質正▶・質成▶・質誠▶・質誓▶・質責▶・質素▶・質対▶・質旦▶・質地▶・質重▶・質直▶・質的▶・質当▶・質訥▶・質判▶・質美▶・質▶・質文▶・質樸▶・質木▶・質朴▶・質明▶・質問▶・質野▶・質用▶・質要▶・質犂▶・質律▶・質略▶・質料▶・質館▶・質宮▶・質作▶・質子▶・質任▶
[下接語]
悪質・委質・異質・瑩質・簡質・気質・貴質・玉質・形質・勁質・倹質・言質・皓質・剛質・才質・材質・侈質・資質・実質・弱質・純質・尚質・昭質・情質・人質・性質・誠質・繊質・善質・素質・体質・丹質・貞質・天質・同質・特質・質・美質・品質・稟質・賦質・物質・文質・変質・朴質・樸質・本質・面質・毛質・木質・良質・霊質・麗質・廉質
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報