謀反(読み)ムホン

デジタル大辞泉 「謀反」の意味・読み・例文・類語

む‐ほん【謀反/謀×叛】

[名](スル)
時の為政者反逆すること。国家朝廷君主にそむいて兵を挙げること。律の八虐規定では国家に対する反逆をいい、「謀叛」の字を用い、謀反むへん謀大逆ぼうたいぎゃくに次いで3番目の重罪とされる。
ひそかに計画して事を起こすこと。
[類語]反乱反逆造反背反革命変革維新改新改革改変改造政変事変内乱暴動クーデター世直し

む‐へん【謀反】

律の八虐の一。国家の転覆をはかること。ぼうへん。

ぼう‐へん【謀反】

むへん(謀反)

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精選版 日本国語大辞典 「謀反」の意味・読み・例文・類語

む‐へん【謀反】

〘名〙 律に規定する八虐の第一番目の重罪。天皇を殺害し、国家を顛覆しようとする罪。君主に対する殺人予備罪犯人斬刑に処される。ぼうへん。
※律(718)賊盗「凡謀反及大逆者、皆斬」

ぼう‐へん【謀反】

〘名〙 律における八虐の筆頭。天皇を害しようと謀ること。この罪を犯した者は斬、その父子没官、祖・孫・兄弟遠流にされ、家人・資財田宅は官に没収され、最も重い犯罪とされた。むへん。〔律(718)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「謀反」の意味・わかりやすい解説

謀反 (むへん)

日本律の八虐(はちぎやく)の冒頭に規定された犯罪。天皇の廃位やその身体に危害を加えることを計画し,またはそれとの関連で武力による現政権の転覆を予備・陰謀する罪をいう。謀反の刑は,大逆の罪(天皇の陵墓皇居を損壊した罪)と同じく,その首犯従犯はすべて斬に処せられ,かつ犯人の父子,犯人所有の家人(けにん),資財田宅はすべて没官(もつかん),祖孫兄弟は遠流とされる。唐律と比べると,謀反の犯人の罪は両者とも同じであるが,その縁坐の範囲は,唐律のほうが日本律よりも,はるかに広い。とくに女性も唐律では縁坐の対象とされるが,日本律では除外されている。謀反・大逆の罪は,恩赦にあっても全免されず,近流に処せられる。なお八虐中の謀叛(むほん)は,謀反が現政権に対する積極的な反乱を企てることをいうのに対し,敵国への投降や亡命等の消極的な抵抗を謀る罪をいうが,後に両者は混同された。謀反,謀大逆,謀叛の3者は,政治犯として裁判手続上,多くの特例が認められている。
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普及版 字通 「謀反」の読み・字形・画数・意味

【謀反】ぼうはん・むほん

むほん。主君にそむく。〔史記、高祖紀〕七年、匈奴、韓王信を馬邑に攻む。信、因りて與(とも)に太原に謀反す。~高、自らきて之れをつ。匈奴、我をに圍むこと七日。

字通「謀」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「謀反」の意味・わかりやすい解説

謀反
ぼうはん

八虐の第1。律の用語。「むほん」とも読む。天皇に対する殺人予備罪をいう。「賊盗律」によれば,首謀者,共謀者とも極刑の斬罪に処せられる。 (→律疏残篇 )  

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「謀反」の解説

謀反
むへん

律で定められた最も重い国家反逆罪。八虐の一つ。天皇に直接危害を加えようとする犯罪。本人は斬刑のうえ除名,父子は没官(もっかん)となり官奴婢とされ,田宅・資財・家人は没官,近親者も縁坐となった。

謀反
ぼうはん

謀反(むへん)

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世界大百科事典(旧版)内の謀反の言及

【八虐】より

…律の条文のうち,主として儒教的見地から道徳上の教えに違反する罪を集めて,それを謀反(むへん)(反をはかる),謀大逆(大逆をはかる),謀叛(むほん)(叛をはかる),悪逆,不道,大不敬,不孝,不義の8項目に分類し(表参照),それに特別な法的効果を付与した規定。したがって八虐に当たる罪に対する刑罰がすべて重いとは限らない。…

※「謀反」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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