西谷墳墓群(読み)にしだにふんぼぐん

日本歴史地名大系 「西谷墳墓群」の解説

西谷墳墓群
にしだにふんぼぐん

[現在地名]出雲市大津町 下来原

斐伊川下流左岸の低丘陵上にある弥生時代から古墳時代にわたる墳墓群。出雲考古学研究会の分布調査によると、大型の四隅突出型弥生墳丘墓数基を含む大小約二〇の墳墓からなる。一号墓は弥生時代後期の小型の四隅突出型墳丘墓で、出雲市教育委員会が昭和四七年(一九七二)に調査し、四つの土壙を検出した。三号墓は大型四隅突出型墳丘墓で、突出部を含めると東西約五〇メートル・南北四〇メートル以上あり、同五八年から一〇年間かけて島根大学が調査した。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「西谷墳墓群」の解説

にしだにふんぼぐん【西谷墳墓群】


島根県出雲(いずも)市大津町にある墳墓群。斐伊(ひい)川に面した西谷の丘陵上には、山陰地方独特の形をした四隅突出形(よすみとっしゅつがた)墳丘墓が集中して分布している。1953年(昭和28)、丘陵開発中に、現在の4号墓の墳丘付近で大量の土器が発見され、初めて遺跡の存在が明らかになった。発掘調査により、これまでに墳丘墓27基と、土坑墓および石棺墓5基、合わせて32基が確認されている。これらは弥生時代から古墳時代にかけて築造され、なかでも注目を集めたのが、西側と北側の丘陵に築かれた1~4号墓、6号墓、9号墓で、いずれも四隅突出形墳丘墓である。とくに3号墓と9号墓は突出部分を含めると50mにも及ぶ大規模なもので、弥生時代後期にこの地方を支配した王の墓と考えられている。3号墓の主体部では、埋葬施設2基から多量の水銀朱(すいぎんしゅ)を使用した2重構造の木棺が発掘され、その棺内からは玉類や鉄剣などが見つかっている。墓坑を埋め戻し、巨大な4本柱を建てた跡も見つかっており、多量の土器を用いた葬送儀礼が行われたことが判明している。また3号墓、4号墓の副葬品には、吉備(きび)地方(岡山県・広島県東部)特有の特殊壺形土器特殊器台形土器が含まれており、吉備地方と交流があったことがうかがえる。2000年(平成12)に国の史跡に指定された。近くに、今市大念寺(いまいちだいねんじ)古墳、上塩冶築山(かみえんやつきやま)古墳などがある。現在、西谷墳墓群史跡公園「出雲弥生の森」として整備・公開されている。JR山陰本線出雲市駅から車で約10分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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