蓼食う虫も好き好き(読み)タデクウムシモスキズキ

デジタル大辞泉 「蓼食う虫も好き好き」の意味・読み・例文・類語

たでむし

タデの辛い葉を食う虫もあるように、人の好みはさまざまであるということ。

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精選版 日本国語大辞典 「蓼食う虫も好き好き」の意味・読み・例文・類語

たで【蓼】 食(く)う虫(むし)も好(す)き好(ず)

辛い蓼を好んで食う虫があるように、人の好みはさまざまで、いちがいにはいえないというたとえ。蓼食う虫は辛きを知らず。蓼食う虫。
※波形本狂言・縄綯(室町末‐近世初)「たでくふ虫もすきずきとは申すが、あのやうなお内儀にそふていらるる」

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故事成語を知る辞典 「蓼食う虫も好き好き」の解説

蓼食う虫も好き好き

人の好みは、その人ごとにさまざまであることのたとえ。

[使用例] けれど、ユリさんはわたしたちほど草村さんを嫌っていないのだから、蓼食う虫というんでしょうね[松本清張*影の車|1961]

[由来] 中国で、古くから使われてきた慣用句から。たとえば、紀元前二~一世紀の文人とうぼうさくの「しちかん」という作品には、「りょうちゅうさいうつるを知らず(からいタデの葉を食べる虫は、人の食用にもなるフユアオイの葉に移動することを知らない)」とあります。中国では、苦しみに慣れることのたとえとして使われていましたが、日本では、からいタデの葉を食べる虫がいるように、人の好みはそれぞれだ、という意味に変化し、現在のような形で定着しています。

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ことわざを知る辞典 「蓼食う虫も好き好き」の解説

蓼食う虫も好き好き

辛い蓼を食う虫もいるが、それはその虫の好みによる。人の好みがさまざまであることのたとえ。

[使用例] タデ食う虫も好き好きかな。勝美姉さんたらあんな人殺しが好きになるんだもの[坂口安吾*心霊殺人事件|1954]

[解説] 人の好みのはかりがたさ、とくに男女の好みについて物好きであることを表す場合が多いことばです。蓼はタデ科タデ属の植物総称で、この場合はヤナギタデを指します。葉をすりつぶし酢で溶きのばして蓼酢として用いるほか、薬味刺身のツマとしても用います。ポリゴジアールという辛み成分が含まれ、普通の虫はつかないが、ホタルハムシなどは好んで食べます。

英語〕There is no accounting for tastes.(好みは説明できない)

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