荻浦村(読み)おぎのうらむら

日本歴史地名大系 「荻浦村」の解説

荻浦村
おぎのうらむら

[現在地名]前原市荻浦・美咲みさきおか一―四丁目・南風台みなかぜだい一―三丁目・同八丁目・前原西まえばるにし一―二丁目

前原村の西に位置し、唐津街道が通る。西は神在かみあり村。街道の南、丘陵の南斜面に本村が位置し、街道の北は沖積低地干拓地。志摩しま郡内で「一桑・二荻・三貝塚」と称された好村だった。永享六年(一四三四)七月日の雅楽助禁制(由比文書/西国武士団関係史料集一四)は荻浦の重富掃部助在所に出され、濫妨狼藉が禁じられた。野北氏に宛てた永正九年(一五一二)と推定される六月二三日の重富正秀申状案(同上)によると、「荻浦居屋敷」付の田二町五段があり、重富名とも称された。重富氏の名字の地で、同申状案によるとほかに二宮御供田・同袈裟丸名三町を知行した。重富氏は本姓中原氏で、嫡流由比庶流は重富を称したという(続風土記拾遺)。同年一〇月二八日の宣国証状(由比文書/大日本史料九―四)では、重富政俊に「荻浦社米田、并居屋敷納所」の知行が認められている。年月日未詳の某申状案(由比文書/西国武士団関係史料集一四)は社米田に対する段銭の免除を求めたもので、以前一〇町知行していたが減少し、現在は荻浦のみを社米田としているとある。神松に文禄四年(一五九五)に没した重富中務少輔重盛の墓がある(続風土記附録)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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