(読み)ひぐま

精選版 日本国語大辞典 「羆」の意味・読み・例文・類語

ひ‐ぐま【羆】

〘名〙 クマ科の哺乳類。体長二~二・八メートル。ツキノワグマよりはるかに大形。他のクマに比べて肩が高く、鼻づらが長い。体毛は長く、灰褐色赤褐色黒色などで、のどから胸に白輪のあるものもある。ユーラシア北アメリカ両大陸の中北部に分布し、日本には北海道に生息。河川近くの森林にすみ、植物の葉や根、木の実・蜂蜜・川魚などを食べる。人畜を襲うことがある。冬は穴の中で冬眠。北海道にすむ亜種エゾヒグマはツキノワグマより大きく、性質も荒い。毛皮敷物に、胆嚢(たんのう)薬用にされる。しくま。ひ。《季・冬》
随筆・西遊記続編(1798)二「就中羆(ヒグマ)などは殊に大にして、よく牛馬を掴裂(つかみさき)て喰ふ」
[語誌]「二十巻本和名抄‐一八」に「羆 爾雅集注云羆〈音碑 和名之久万〉」とあるように、古くはシクマ(シグマ)と呼ばれていた。ヒグマの語形は近代以降多く見られるようになる。一般化したのは大正期か。

し‐くま【羆】

〘名〙 (「しぐま」とも) =ひぐま(羆)
書紀(720)斉明四年一一月(北野本訓)「生熊(くま)二つ、羆(シクマ)の皮七十枚(ひら)献る」
新撰字鏡(898‐901頃)「羆 彼宜反 平 畜也 志久万」

ひ【羆】

〘名〙 「ひぐま(羆)」のこと。
太平記(14C後)三〇「今日の獲物は、熊に非ず、羆(ヒ)に非ず」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「羆」の意味・読み・例文・類語

ひ‐ぐま【×羆】

クマ科の哺乳類。ヨーロッパからアジア北部、北アメリカにかけて分布。多くの亜種があり、ふつう体長約2メートル、体重約200キロ。体色も灰褐色・赤褐色・黒褐色と変化が多く、地方によりアカグマハイイログマなどとよばれる。北海道にすむ亜種エゾヒグマはツキノワグマより大きく、性質も荒い。樹洞などで冬ごもりする。肉食を主とする雑食性。 冬》
[類語]白熊北極熊黒熊月の輪熊灰色熊洗い熊

ひ【×羆】

ひぐま」に同じ。
「今日の獲物はゆうに非ず―に非ず」〈太平記・三〇〉

し‐くま【×羆】

《「しぐま」とも》「ひぐま」に同じ。〈和名抄

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

動植物名よみかた辞典 普及版 「羆」の解説

羆 (ヒグマ)

動物。クマの一種

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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