禁忌(読み)きんき

精選版 日本国語大辞典 「禁忌」の意味・読み・例文・類語

きん‐き【禁忌】

〘名〙
① さわりのあるものとして忌みはばかられる物事への接近・接触をずること。病気・出産・死などの状態に関するもの、食べ物、方角、日時に関するものなどさまざまな形のものがあり、一般に、違反者は超自然的な制裁を蒙るものとされる。さわり。タブー
※狩野亨吉氏蒐集文書‐長暦四年(1040)六月三日・官宣旨案「去年二月神主等破禁忌之旨、背起請之跡、越渡禁河
※浄瑠璃・平仮名盛衰記(1739)一「戦場に向はんに頸落の滝とは禁忌(キンキ)なり」
② ある薬剤ないしは治療を試みる場合、病気を悪化させるなど、人体に何らかの悪影響を与えるとしてそれらの方法は用いるべきでないということ。薬物学、外科、レントゲン、精神療法上に用いられる。
※小学読本(1874)〈榊原・那珂・稲垣〉四「医師は老病にて薬力及び難し。此上は食物の禁忌も無用也」

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デジタル大辞泉 「禁忌」の意味・読み・例文・類語

きん‐き【禁忌】

[名](スル)
み嫌って、慣習的に禁止したり避けたりすること。また、そのもの。タブー。「禁忌を破る」
人体に悪影響を及ぼす危険がある薬剤の配合や治療法を避けて行わないようにすること。
[類語]禁止禁制禁断禁令禁遏きんあつ禁圧厳禁無用法度はっと差し止め駄目だめ(―する)禁ずる取り締まる制する

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デジタル大辞泉プラス 「禁忌」の解説

禁忌

ドイツの作家フェルディナント・フォン・シーラッハの小説(2013)。原題《Tabu》。

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普及版 字通 「禁忌」の読み・字形・画数・意味

【禁忌】きんき

習慣上避けるべきこと。〔漢書芸文志陰陽家は~則ち禁忌に牽かれ、小數に泥(なづ)み、人事を舍(す)ててに任す。

字通「禁」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「禁忌」の意味・わかりやすい解説

禁忌
きんき

タブー」のページをご覧ください。

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世界大百科事典内の禁忌の言及

【忌∥斎】より

…《古事記》《日本書紀》その他の古典で,典型的には〈斎〉と〈忌〉とに表記上使い分けられる。現代では禁忌ないしタブーに比定されるが,古典的には異常な神聖に対する消極的な忌避の態度や習俗ばかりでなく,積極的な交渉や謹慎のそれをも含む。原始古代の神聖観念には,崇高,清浄,偉大,強力など畏敬すべき神聖のほかに危険,邪悪,汚穢(おわい)など忌避すべき不浄な神聖も含まれており,基本的には異常な神秘として日常から隔離され俗的扱いを禁止される意味をもつ。…

【タブー】より

…その後,ポリネシアでタブーと呼ばれているものと類似の慣習が世界中に広く見られることが明らかとなり,タブーという語は今日では,欧米や日本でも日常語として用いられるに至っている。日本語ではふつう禁忌と訳され,日本語古来の(いみ),物忌(ものいみ)という言葉も類似の意味をもっている。 ポリネシア語においては,taは〈徴(しるし)づける〉,bu(もしくはpu)は〈強く〉を意味すると言われている。…

※「禁忌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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