かね【矩】
〘名〙
※
平家(13C前)四「かねに渡いて推し落とさるな。水にしなうて渡せや渡せ」
③ 規矩。模範となるもの。のり。
※五輪書(1645頃)地の巻「大将は大工の棟梁として、天下のかねを弁へ、其国のかねを糺し、其家のかねを知る事、棟梁の道也」
※自由之理(1872)〈中村正直訳〉四「凡そ人たるもの、徳善才智、及び身体の事、みな自己を以て度尺(カネ)となして」
く【矩】
〘名〙
②
外惑星が黄経差九〇度の位置にあること。またはその
時刻をいう。プラス九〇度の場合を
東方矩、東矩、
上矩、マイナス九〇度の場合を
西方矩、西矩、
下矩などという。
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矩
く
地球からみて惑星が太陽の東または西に直角方向に見えるときをいう。内惑星である水星と金星は直角に見えることはなく、外惑星に限られる。太陽の東に90度になったときを上矩(じょうく)、西に90度になったときを下矩(かく)という。上矩のころには惑星は日没のころに南中し、また下矩のころには日の出のころ南中するが、これは月の上弦、下弦と同様である。外惑星の太陽に対する位置は、合(ごう)、下矩、衝(しょう)、上矩の順に変化する。
[村山定男]
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デジタル大辞泉
「矩」の意味・読み・例文・類語
かね【×矩】
1 「曲尺」に同じ。
2 模範となるもの。
「凡そ人たるもの、徳善才智、及び身体の事、みな自己を以て―となして」〈中村訳・自由之理〉
3 垂直であること。直角であること。
「(川ニ対シテ)―に渡いて押し落とさるな」〈平家・四〉
く【×矩】
地球から見て、外惑星が太陽から90度の位置にあること。また、その時刻。太陽の東にあれば上矩または東方矩、西にあれば下矩または西方矩という。
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矩
く
quadrature
外惑星あるいは月が,地球から見て,太陽と直角の方向にくること。惑星や月が地球から見て,東にある場合を東方矩または上矩,西方にある場合を西方矩または下矩という。月の場合は特にそれぞれ上弦,下弦という。
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く【矩 quadrature】
地球から見て,惑星が太陽から90度離れて見えるときのことで,外惑星に限られる現象である。外惑星の黄道上の見かけの動きは太陽よりも遅いので,合を過ぎると外惑星は太陽の西側に位置する。西側で太陽から90度離れたときを上矩(または西方矩)と呼ぶ。さらに時間が経過して衝を過ぎ,太陽から西側へ270度離れた位置,すなわち太陽の東側90度の位置に達したときを下矩(または東方矩)と呼ぶ。上矩のとき,外惑星は真夜中に東の空に昇り,夜明けごろ南中する。
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