疎(漢字)

普及版 字通 「疎(漢字)」の読み・字形・画数・意味


11画

(異体字)疎
12画

[字音] ソ・ショ
[字訓] とおる・うとい・あらい

[説文解字]

[字形] 形声
いま常用漢字に疎を用いるが、正字。ともに疋(しよ)声。疋は(そ)。爻(こう)はあらめの模様。の爻に代えて、(そ)(あらい)のを加えた形。〔説文十四下に「ずるなり」とあり、通の意と、野の意とに用いる。野は粗野。字はまた疎に作り、・疎は同字であるが、上通には、疎略・疎忽には疎を用いる。字に慣用上の相違があるが、いま同字として扱う。

[訓義]
1. とおる、あらい目のところをとおる、両者の間をさわりなくする、とおす。
2. のぞく、ひらく、わかれる。
3. うとい、うとんずる、とおい、まばら、まれとなる。
4. あらい、大きい、そまつ。
5. 疋に通じ、あしはだし
6. 俗に疎に作る。

[古辞書の訓]
和名抄 辨色立に云ふ、瓦、々美加波良(つつみかはら)〔名義抄 ヒラク・ウトシ・ウトムズ・ソネム・ツミ・ヲサム・シタガフ・トホシ・ノゾク・ホル・オロソカニ・オロソカナリ・ヒロシ・ヒロム・ケヅル・ウタタ・スル・ヱル・シル・ワカツ・シルス・マド・カヨフ・ツク・ホル 〔字鏡集〕・疎 シル・ホル・シルス・トホル・フクロフ・トホシ・スカス・ヱル・ノゾク・ウトシ・コトハル・ヒラク・ワカツ・カンガフ・ウツヲ(ロ)ナリ・ウカガフ・ソネム・シタガフ・フサグ・ヒロシ・ケヅル・ハラフ・マコト・ツク・コトハル・カヨフ・オソシ・オホ(ロ)ソカナリ・ツクロフ・ワカツ・ヨソ・スル・クル・スカタ(ス)・ヱレリ・ヲサム・ムス・マドカ

[語系]
(疎)・shiaは同声。粗tsaも声義が近い。略・忽は粗と通用の義で、その義には慣用として疎を用いる。語彙は疎字条参照。

[熟語]

[下接語]
・稀・綺・義・空・決・献・交・抗・講・自・手・書・章・上・情・親・牋・草・奏・注・披・扶・敷・分・弁・密


常用漢字 12画

[字音] ソ・ショ
[字訓] うとい

[字形] 形声
声符は疋(しよ)。もとの俗字。のち、あらい、まばら、うといの意にこの字を用いることがあるが、上通の意には用いることがない。束はものを束ねる意。その結束緩なることをいう字であろう。梁の簡文帝の〔初秋詩〕に「疎螢(そけい)」、〔論衡、非韓〕に「黨疎す」のように用いる。束ねることの疎緩であることから、疎遠・疎の意となる。

[訓義]
1. あらい、ゆるやか、まばら。
2. とおい、いやしい。
3. うとい、おろか。

[古辞書の訓]
〔字鏡集〕疎 ヱレリ・ウトシ・コトハル・トホル・シル・ホル・スカス・ヒラク・トヲ(ホ)シ・ツク・ノゾク・ツクロフ・ワカツ・カムガフ・ハラフ・ウツヲ(ロ)ナリ・カヨフ・ヲソシ

[語系]
疎()・shia、粗tsaは声義近く、疎略・疎忽などには疎を用いることがある。*語彙は字条参照。

[熟語]
疎簡疎忌疎虞疎蛍疎嫌・疎絶・疎疎緻・疎疎野疎籬疎林
[下接語]
疎・過疎・外疎・寒疎・間疎・寛疎・簡疎・頑疎・稀疎・空疎・疎・森疎・親疎・生疎・拙疎・扶疎・密疎・離疎・林疎

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報