精選版 日本国語大辞典 「由由・忌忌」の意味・読み・例文・類語
ゆゆし・い【由由・忌忌】
〘形口〙 ゆゆし 〘形シク〙
[一] 触れると重大な結果をもたらすので、触れてはならない。はばかるべきである。
① 神聖であるので触れてはならない。恐れつつしむべきである。恐れ多い。恐ろしい。
② けがれているので忌み避けねばならない。不吉である。縁起が悪い。心配すべきさまである。
※万葉(8C後)一二・二八九三「朝去にて夕は来ます君ゆゑに忌忌久(ゆゆしク)も吾は嘆きつるかも」
③ いやな感じである。うとましい。いまいましい。
※落窪(10C後)二「翁の文見む事のゆゆしうて、あこぎかへり事せよと書きつけてさし出したれば」
④ 気がかりである。心配である。
※蜻蛉(974頃)中「ゆゆしとおもふ人も、ただひとりいでたり、胸うちつぶれてぞ、あさましき」
[二] 程度がはなはだしい。一通りでない。大変である。容易でない。大層である。すっかり…である。
※宇津保(970‐999頃)祭の使「ゆゆしき物羨みをのみも、となん」
※謡曲・安宅(1516頃)「さてはおん下向を存じて立てたる関にて候ふと存じ候ふ間、これはゆゆしきおん一大事のことにて候」
[三] 非常にすぐれている。すばらしく立派である。
① 不吉なことが思われるほどすぐれている。そら恐ろしいほど美しい。
② 非常に立派である。非凡である。豪勢である。
[語誌](1)「ゆ(斎)」を重ねて形容詞化したもので、手に触れたり、言葉に出したりしては恐れ多く、あるいはそれが不吉であることを表わす。
(2)上代の用法は「ゆ(斎)」の意識が濃厚で、神聖で恐れ多い(一)①の場合と、縁起が悪く不吉なものを指す(一)②の場合とがある。中古以降は、(二)のように単に程度のはなはだしさを表わす用法も見られるようになるが、その場合でも不吉さを含んだものが見られる。
(3)中世には(三)②のようなプラスの意味の程度のはなはだしさをいうようにもなる。
(2)上代の用法は「ゆ(斎)」の意識が濃厚で、神聖で恐れ多い(一)①の場合と、縁起が悪く不吉なものを指す(一)②の場合とがある。中古以降は、(二)のように単に程度のはなはだしさを表わす用法も見られるようになるが、その場合でも不吉さを含んだものが見られる。
(3)中世には(三)②のようなプラスの意味の程度のはなはだしさをいうようにもなる。
ゆゆし‐が・る
〘他ラ四〙
ゆゆし‐げ
〘形動〙
ゆゆし‐さ
〘名〙
ゆゆし【由由・忌忌】
〘形シク〙 ⇒ゆゆしい(由由)
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