瓔珞(読み)ヨウラク

デジタル大辞泉 「瓔珞」の意味・読み・例文・類語

よう‐らく〔ヤウ‐〕【××珞】

珠玉を連ねた首飾り腕輪インドにおける装身具であったが、仏教では仏像荘厳しょうごんする飾り具をいい、また寺院内の宝華ほうけ状の荘厳をいう。

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精選版 日本国語大辞典 「瓔珞」の意味・読み・例文・類語

よう‐らく ヤウ‥【瓔珞・瑤エウ珞】

〘名〙
① 珠玉や貴金属を編んで、頭・首・胸にかける装身具。仏菩薩などの身を飾るものとして用いられ、寺院内でも天蓋などの装飾に用いる。もとインドの上流階級の人々が身につけたもの。
文徳実録‐嘉祥三年(850)五月壬午「后亦夢仏瓔珞。居五六日」
太平記(14C後)二六「二仏の並び座す瓔珞(ヤウラク)を、暁の風に漂はせ」 〔南史‐林邑国伝〕
② 洋風建築の軒先につける垂れ飾りの板。
③ (①から転じて) 着物の裾などから垂れ下がるぼろや、天井にぶら下がる煤などをいう。
※雑俳・うき世笠(1703)「さまさまにやうらく下るけぶり出し」

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普及版 字通 「瓔珞」の読み・字形・画数・意味

【瓔珞】よう(やう)らく

珠の首飾り。仏像に用いる。〔南史、夷貊上、海南諸国、林邑国伝〕其の王たる、法、瓔珞を加ふること、佛像のりの如し。出づるときは則ち象に乘り、螺(ら)(法螺貝)を吹き鼓をつ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「瓔珞」の意味・わかりやすい解説

瓔珞
ようらく

仏具の一種で、纓珞、纓絡とも書く。梵語(ぼんご)ムクタハーラmuktāhāra、ハーラhāra、ケユーラkeyūraの訳。古代インドの貴族の装身具として用いられ、とくに首や胸を中心に、真珠・玉(ぎょく)・金属などを紐(ひも)に通したり、つないだりして飾った。仏教では仏像、とくに菩薩(ぼさつ)像などを荘厳(しょうごん)する飾り具として用い、また浄土では木の上からこれが垂れ下がっているといわれているため、日本の寺院では宝華形をつないで垂下させたものを寺堂内陣の装飾に用い、これも瓔珞という。

[永井信一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「瓔珞」の意味・わかりやすい解説

瓔珞
ようらく

サンスクリット語のムクターハーラ muktāhāraまたはケーユーラ keyūraの訳語。インドで身分の高い男女が珠玉や貴金属を編んで,首,胸,腕などにつけた装身具。仏教では寺院内外の飾りや仏像の首,胸,衣服の飾りに用いる。

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百科事典マイペディア 「瓔珞」の意味・わかりやすい解説

瓔珞【ようらく】

本来,玉や貴金属に紐(ひも)を通してつないだ飾りで,インドで頭,首,胸を飾るため,貴人の用いたもの。仏教では仏像の首飾,宝冠,天蓋の装飾や,仏前の荘厳(しょうごん)(飾り)に多く用いられる。

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