御簾(読み)ミス

デジタル大辞泉 「御簾」の意味・読み・例文・類語

み‐す【×簾】

を敬い、また、丁寧にいう語。すだれ
宮殿神殿などに用いるすだれ。竹のひごを編み、平絹緞子どんすなどで縁をとった目の細かいもの。
御簾紙みすがみ」の略。

ぎょ‐れん【御×簾】

貴人を敬って、その用いるすだれをいう語。みす。

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精選版 日本国語大辞典 「御簾」の意味・読み・例文・類語

み‐す【御簾】

〘名〙 (「み」は接頭語)
① 「す(簾)」を敬い、また、丁寧にいう語。すだれ。
※宇津保(970‐999頃)蔵開中「みすには、浅黄にして、緑の綺(き)を端にはさしたり」
② 特に、宮殿・神殿などに用いるすだれ。
③ 「ぬきす(貫簾)」を敬い、また、丁寧にいう語。
禁秘鈔(1221)上「女官御楊枝二を双指御簾、まかりいだしまゐらせ候はんといふ也」
④ 「みすがみ(御簾紙)」の略。
随筆・見た京物語(1781)「女郎鼻紙にみすを用ひず。皆のべなり」
⑤ 歌舞伎の大道具、御簾屋台(みすやたい)のすだれ。この上げおろしによって劇の進行に区切りをつける。
※歌舞伎・名歌徳三舛玉垣(1801)五立「ト唄に成、政澄扇を㒵(かほ)へ当てる。きっかけにてみす降りる」

ぎょ‐れん【御簾】

〘名〙
① 貴人を敬って、その用いる簾(すだれ)をいう語。みす。
菅家文草(900頃)四・三月三日侍於雅院賜侍臣曲水之飲「仙盞追来花錦乱、御簾巻却月鈎新」
※高野本平家(13C前)三「頭中将重衡、〈略〉御簾(ギョレン)の内よりつっと出て」
② 貴人の出入りの際に、簾を上げる役。
※とはずがたり(14C前)三「とうぎゃうのにしきのしとねをしきて、春宮の御ざとみえたり。内・両院御れん関白殿。春宮には、傅(ふ)のおとど遅参にて、だいぶ御れんに参たまふなりけり」

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改訂新版 世界大百科事典 「御簾」の意味・わかりやすい解説

御簾 (みす)

すだれ(簾)の高級なものを御簾といい,翠簾とも書く。竹ひごを赤い絹糸で編み,四周に縁(へり)をつけたもので,縁はふつう緑か萌黄地に黒く窠紋(かもん)(木瓜(もつこう)形)を染め付けたものである。幅が広い場合は中にも立縁をつける。これに巻き上げたときかかげておくための鉤(こ)というU字形の金具がつき,ここに鉤丸(こまる)という丸緒の房を下げる。房は黄,赤,黒のだんだらが多い。御簾をかけた上には帽額(もこう)という横布を張る。凶事や仏事には黒御簾が使われる。縁,帽額ともに濃いねずみ色の絹で,懸緒は白である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「御簾」の意味・わかりやすい解説

御簾
みす

宮殿や社寺で用いる場合のすだれ呼称。材料によって葦簾,茅 (かや) 簾,菰 (こも) 簾,玉簾などの名がある。竹は黄色に染め,周囲に萌黄の縁をつけ,その上辺の広い部分を帽額 (もこう) といった。巻上げるときに使う鉤 (かぎ) のついた紐が上から垂れ,その紐には白,赤,黒に染め分けた房がついている。寝室ではひさしの内側に掛け,母屋では外側に掛けるなど,日よけとしてではなく,むしろ境界に用い,また風寒をさえぎり,外見を避けるのに用いられた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「御簾」の意味・わかりやすい解説

御簾
みす

神殿や宮殿などで用いられる簾(すだれ)のこと。竹のひごを編み、綾(あや)や緞子(どんす)などで縁をとったもの。

[編集部]

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家とインテリアの用語がわかる辞典 「御簾」の解説

みす【御簾】

簾(すだれ)の高級なもの。または貴人の使う簾をいう敬語。平安時代の寝殿造りなどで、目隠しに用いた。その後神前にも掛けられるようになった。

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世界大百科事典(旧版)内の御簾の言及

【すだれ(簾)】より

…伊予竹で作った伊予すだれは古来最高級品とされているが,伊予竹は伊予山中で採れる篠竹で,幹が細く軽いうえ光沢が美しいのですだれ材として最適である。すだれは一般には縁(へり)がつかないが,縁つきの高級品を御簾(みす)という。すだれは戸口や軒先など外部に面した場所にかけ,御簾は室内にかけるというが,特にきまりはない。…

※「御簾」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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