(読み)ハン

デジタル大辞泉 「煩」の意味・読み・例文・類語

はん【煩】[漢字項目]

常用漢字] [音]ハン(漢) ボン(呉) [訓]わずらう わずらわす
ハン
事が多くてうるさい。わずらわしい。「煩瑣はんさ煩雑煩多煩忙煩累煩労
思い悩む。「煩悶はんもん
ボン俗念で心を惑わす。「煩悩

はん【煩】

わずらわしいこと。面倒なこと。「に堪えない」「をいとわず」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「煩」の意味・読み・例文・類語

わずらわし・い わづらはしい【煩】

〘形口〙 わづらはし 〘形シク〙 (動詞「わずらう(煩)」の形容詞化)
① めんどうなことなどにかかずらっていやだという感じである。いとわしい。うるさい。めんどうである。厄介である。
蜻蛉(974頃)中「わづらはし、例のやうにて、ふと渡りなん」
徒然草(1331頃)一八九「わづらはしかりつる事はことなくて、やすかるべき事はいと心ぐるし」
物事が入りくんでいる。繁雑である。こみ入っていて複雑である。
※竹取(9C末‐10C初)「宮仕つかうまつらず成ぬるも、かくわづらはしき身にて侍れば」
③ 手数がかかっている。手がこんで念入りである。
※宇津保(970‐999頃)国譲上「本どもを、いとわづらはしくかかせ給ふめりしが、そのよろこびきこえさせしぞや」
④ 気がおかれるさまである。なんとなく気をつかわせられるさまである。はばかられるようである。
源氏(1001‐14頃)賢木「やむごとなくわづらはしき物におぼえ給へりし大殿のきみも、うせ給て後」
⑤ 体の具合が悪い。病気である。また、病状が重い。
平家(13C前)六「御悩つかせ給ひて、つねはわづらはしうきこえさせ給しが」
わずらわし‐が・る
〘自ラ五(四)〙
わずらわし‐げ
〘形動〙
わずらわし‐さ
〘名〙

わずらわ・す わづらはす【煩】

〘他サ五(四)〙
① わずらわしくする。思い苦しませる。なやませる。
書紀(720)天武八年一〇月(北野本訓)「或いは暴く悪しき者を聞きて、煩(ワツラハシ)て忍びて治(かむか)へず」
※源氏(1001‐14頃)葵「ことにおどろおどろしう、わづらはし聞ゆる事もなけれど」
他人をめんどうな目にあわせる。迷惑をかける。骨を折らせる。手間をかけさせる。
※書紀(720)継体二三年四月(前田本訓)「勅(みことのり)を聴く使を悩(ワツラハス)は、乃ち欺誑きて、上臣(おほまつきみ)誅戮(ころ)さむとありけりといふことを知りぬ」
※栄花(1028‐92頃)駒競行幸「国の守もわづらはさじとおぼしめして、京よりよろづ具せさせ給」

うるさ【煩】

(形容詞「うるさい」の語幹)
品格、心ばえ、技巧などがすぐれていること。りっぱなこと。巧みなこと。
※源氏(1001‐14頃)野分「いとかしこき人の、末の世にあまるまで、才たぐひなく、うるさながら人としてかく難なき事はかたかりける」
② わずらわしいこと。いとわしいこと。〔名語記(1275)〕

はん【煩】

〘名〙 (形動) わずらわしいこと。うるさいこと。また、そのさま。
日本開化小史(1877‐82)〈田口卯吉〉一「衣服を得るの術復た従前の煩に似ず」 〔孟子‐滕文公・上〕

わずらわわづらはし【煩】

〘形シク〙 ⇒わずらわしい(煩)

うるさ・し【煩】

〘形ク〙 ⇒うるさい(煩)

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