の‐わき【野分】
[1] 〘名〙 (野の草を分けて吹き通る風の意)
二百十日、二百二十日前後に吹く
暴風。また、ひろく秋から冬にかけて吹く強い風をいうこともある。のわきのかぜ。のわけのかぜ。のわけ。
台風。《季・秋》
※敦忠集(10C後)「のわきしてしらなみたたむ時だにもすぐさず君にあひみてしがな」
[2] 「
源氏物語」第二八帖の名。光源氏三六歳の秋八月。野分の吹き荒れたあと、
風見舞にまわる
夕霧の目に映じた
六条院のさま、垣間見た
紫上や明石姫君のさまなどを述べる。王鬘十帖の第七。
の‐わけ【野分】
※類従本相模集(1061頃か)「浅茅原野わけにあへる露よりも猶有がたき身をいかにせん」
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野分
のわき
秋から初冬にかけて吹く、主として台風による暴風のことで、「のわけ」ともいう。通説では野の草を吹き分けて通る風として、その意味が考えられているが、柳田国男(やなぎたくにお)は、現在もなお使われている「わいだ」(「わいた」ともいい、秋の稲作の季節に外海から吹いてくる強風)と関連し、それは立ち重なる雲の間から突如として吹き出す風ではないかと考えた。俳諧(はいかい)では秋の季語。
[根本順吉]
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野分【のわき】
〈のわけ〉とも。秋の台風の古い呼び名。秋草の野を吹きわける意。二百十日,二百二十日前後に吹く。
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野分
台風に伴う暴風。または、秋から初冬にかけての強風。野の草を分けて吹く風の意味。
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世界大百科事典(旧版)内の野分の言及
【風】より
…〈彼岸西風(ひがんにし)〉〈彼岸荒れ〉などと同じ。 野分(のわき)〈のわけ〉ともいう。秋に吹く暴風。…
※「野分」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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