漏・洩・泄(読み)もる

精選版 日本国語大辞典 「漏・洩・泄」の意味・読み・例文・類語

も・る【漏・洩・泄】

[1] 〘自ラ五(四)〙
① 光や水、音、空気などが隙間や穴を通って出る、または、はいる。もれる。
書紀(720)仁徳四年三月(前田本訓)「星辰(ほし)の壊(やふれま)より漏(モリ)て床(みゆか)(みましき)を露(あらは)にす」
※金刀比羅本保元(1220頃か)下「押ふる袖の下よりも、洩(モリ)て涙ぞながれける」
② 秘密や謀り事が現われる。隠し事世間に知れる。もれる。
※書紀(720)敏達元年六月(前田本訓)「是の夕に、謀泄(モリ)ぬ」
源氏(1001‐14頃)花宴「御心の中なりけん事、いかでもりにけむ」
③ 本来そこになければならないところ、また、ありたいと願うところから脱落する。欠落する。省かれる。落ちる。もれる。
※書紀(720)欽明三〇年正月(寛文版訓)「籍(なのふだ)に脱(モリ)て課(えつき)に免るる者衆し」
※源氏(1001‐14頃)帚木「その方を取り出でん選びに必ずもるまじきは、いとかたしや」
[2] 〘自ラ上二〙 ⇒もりる(漏)
[3] 〘自ラ下二〙 ⇒もれる(漏)

も・れる【漏・洩・泄】

〘自ラ下一〙 も・る 〘自ラ下二〙
① =もる(漏)(一)①
日葡辞書(1603‐04)「コウヲワ アミニ moruru(モルル)
雪国(1935‐47)〈川端康成〉「駒子の声が八方へ洩れさうで」
② =もる(漏)(一)②
平家(13C前)二「法皇『あは、これらが内々はかりし事のもれにけるよ』と」
③ =もる(漏)(一)③
※源氏(1001‐14頃)賢木「このたびの司召にももれぬれど、いとしも、思ひ入れず」
④ ある範囲から外れる。
※日葡辞書(1603‐04)「リニ moruru(モルル)
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一「坐して食へば山も空しの諺に漏れず、次第々々に貯蓄の手薄になる所から」

もれ【漏・洩・泄】

〘名〙 (動詞「もれる(漏)」の連用形名詞化) もれること。ぬけ。おち遺漏。脱落。「記載漏れ」
※俳諧・生玉万句(1673)「洩とまれ新酒なかるる柳樽〈利清〉 まへかんなまま藤のうら枯〈忠友〉」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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