海神社(読み)ワタツミジンジャ

デジタル大辞泉 「海神社」の意味・読み・例文・類語

わたつみ‐じんじゃ【海神社】

神戸市垂水たるみ区にある神社。祭神は底津綿津見神そこつわたつみのかみ中津綿津見神・上津綿津見神の3柱の海神瀬戸内海の舟運守護神として崇敬される。かいじんじゃ。

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精選版 日本国語大辞典 「海神社」の意味・読み・例文・類語

わたつみ‐じんじゃ【海神社】

兵庫県神戸市垂水(たるみ)区本町にある神社。旧官幣中社。祭神は上津綿津見神(うわつわたつみのかみ)、中津綿津見神ほか二柱。神功皇后の創祀と伝えられ、舟運守護、海上鎮護の神として崇敬される。わたじんじゃ。かいじんじゃ。日向大明神。垂水神社

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日本歴史地名大系 「海神社」の解説

海神社
かいじんじや

[現在地名]垂水区宮本町

明石海峡を望む海岸に鎮座。祭神は底津綿津見神・中津綿津見神・上津綿津見神を主神とし、大日貴尊を相殿神とする。旧官幣中社。「延喜式」神名帳にみえる明石郡九座のうち「海神社三座」に比定される。大社で月次・新嘗の大祭に官幣にあずかった。江戸時代は日向ひゆうが大明神と称した。日向大明神縁起(海神社蔵)などの社伝によると、神功皇后が新羅出兵の帰途垂水沖で暴風怒濤のため船が進まなくなった時、斎戒して海神三座を祀ったのが鎮座の由来という。

海神社
うながみしや

[現在地名]打田町神領

海神池の南に鎮座し、海神かいじん社ともいう。祭神は豊玉彦とよたまひこ命。相殿に国津姫くにつひめ命を祭神とする浦上うらがみ社を祀る。旧県社。近世には池田いけだ荘の産土神とされた。「延喜式」神名帳の那賀なが郡「アマノ神社」に比定され、相殿の浦上社は「三代実録」仁和元年(八八五)一二月二九日条に従五位下の叙位が記される紀伊国浦上国津姫神にあてられる。

海神社
かいじんじや

[現在地名]室生村大字大野小字ミヤノワキ

宇陀うだ川河畔、大野おおの寺の北に鎮座。祭神豊玉姫とよたまひめ命。旧村社。当社も室生村三本松さんぼんまつの海神社と同じく室生の龍穴りゆうけつ神社より移したと伝え、祈雨神とされている。本殿は三間社流造・檜皮葺であるが、独立した社殿が屋根のみ共通となっており、連結式社殿への過渡的段階を示す。江戸初期の建築で県指定文化財。境内には能舞台が残る。当社に合祀されたもと神社の神宝であった能面八面は、大野の正福しようふく(現廃寺)所蔵となり、県指定文化財(奈良国立博物館に寄託)。そのうち飛出の面には竜載があり、竜神の面であったとも考えられ、龍穴神社との関係もうかがわれる。

海神社
かいじんしや

[現在地名]室生村大字三本松

宇陀うだ川南岸、字中村なかむら小字ナルミに鎮座。ナルミの宮とも称す。祭神は豊玉姫とよたまひめ命。室生村大野おおのの海神社と同様、海神を祀るので海部関係の神社と考えられるが、海に面しない奈良県に海神を祀った社が鎮座する理由は不明。現奈良県下市町立石たていしに海神社、同県西吉野村夜中よなかにも海神わだつみ神社が鎮座するが、これは吉野川・丹生にう川流域にあたる。旧村社。社伝によると、応永三年(一三九六)室生の龍穴りゆうけつ神社から善女竜王を勧請したと伝え、善女竜王の掛軸木像を有し、境内の灯籠にも善女竜王と刻むなど、雨乞の神とされている。

海神社
あまじんじや

[現在地名]豊岡市小島

河口部に近い円山まるやま川西岸にある。祭神は大綿津見命。旧村社。承和九年(八四二)官社に預かり(「続日本後紀」同年一〇月一五日条)、貞観一〇年(八六八)従五位上に進んだ(「三代実録」同年一二月二七日条)。「延喜式」神名帳に載る城崎きのさき郡の名神大社海神社で、「新撰姓氏録」左京神別(下)にみえる但馬海直の奉祀社と伝え、これが当社を城崎郡唯一の名神大社とした契機ともいわれる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「海神社」の意味・わかりやすい解説

海神社
わたつみじんじゃ

「かいじんじゃ」とも称し、垂水(たるみ)神社ともいう。神戸市垂水区宮本町に鎮座。上津綿津見(うわつわたつみ)神、中津(なかつ)綿津見神、底津(そこつ)綿津見神を祀(まつ)る。対岸に淡路島を臨む明石(あかし)海峡の北側に鎮座し、海上守護神としての崇敬が厚い。朝廷から806年(大同1)までに封戸(ふこ)10戸が奉宛(ほうえん)されており、『延喜式(えんぎしき)』の名神(みょうじん)大社で、神階は939年(天慶2)で正(しょう)五位下(げ)。江戸時代には明石藩主の崇敬が厚く、毎年、直参するか、または代参を派遣していた。1871年(明治4)国幣中社に列し、97年に官幣中社に昇格した。例祭は10月11日で、翌12日に神幸(じんこう)式(海上渡御祭(かいじょうとぎょさい))がある。

[熊谷保孝]

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百科事典マイペディア 「海神社」の意味・わかりやすい解説

海神社【わたつみじんじゃ】

兵庫県神戸市垂水(たるみ)区宮本町に鎮座。旧官幣中社。底津綿津見(そこつわたつみ)命・中津綿津見命・上津(うわつ)綿津見命をまつる。いずれも航海守護の神として信仰される。神功皇后の時の創建と伝える。延喜式内の名神大社。例祭は10月11日。この日海上渡御が行われる。

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