海中公園（読み）カイチュウコウエン

デジタル大辞泉

かいちゅう‐こうえん〔‐コウヱン〕【海中公園】

⇒海域公園

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

かいちゅう‐こうえん ‥コウヱン【海中公園】

〘名〙 浅海と海岸の一定地域を選び、海中や海底などの景観や生息する生物を観察、観賞する目的でつくられた自然公園。吉野熊野国立公園内の串本海中公園や、若狭湾国定公園内の三方(みかた)海中公園など。

出典　精選版 日本国語大辞典

改訂新版　世界大百科事典

海中公園 (かいちゅうこうえん)

海中の景観の維持，資源の保護，海洋についての調査・研究や教育およびレクリエーションのための一般の利用などに資する目的で区画された自然公園。世界的にみると，1962年の第1回世界国立公園会議（シアトル）で海中公園設定の勧告が採択されてから，各国でその設置が考えられるようになった。しかし1950年代にオーストラリアでクイーンズランド東海岸のグレート・バリア・リーフを中心とした海域が指定されたのが，本格的な海中公園の最初である。日本の海中公園地区は，1970年の自然公園法の改定によって新たに設けられるようになったもので，環境庁（現，環境省）長官が国立公園および国定公園の海域内に指定する。1970年7月に吉野熊野国立公園の串本，足摺国定公園の宇和海など10地区が最初に指定され，2007年3月までに全国で11国立公園34地区，14国定公園31地区が海中公園となっている。海中公園の海域では，景観の重要な要素である熱帯魚，サンゴ，海藻等の動植物の採取や捕獲はもちろんのこと，埋立・干拓，海水の汚濁等が規制される。海中公園は日本の海岸の中でも，特に水深がほぼ20m以内で，豊富な動植物，変化のある海底地形，透明度の高い海域であるところが選定されているが，レクリエーション施設は，海中展望塔，海底の見えるグラスボートなどがあるにすぎない。今後はアメリカにみられるように，シュノーケルを利用しての観察を可能にするような海底案内標識，海中の自然研究路などが設けられ，さらにナチュラリストやレンジャー等の配置も望まれる。
執筆者：白坂 蕃

出典　株式会社平凡社「改訂新版　世界大百科事典」

百科事典マイペディア

海中公園【かいちゅうこうえん】

海中景観を主とし，海上・陸上景観の探勝，学術観察，自然保護を目的とする公園。1954年オーストラリアがクイーンズランド東海岸を世界初の海中公園に指定，1962年の第１回世界国立公園会議で各国が設定するという勧告を採択。日本では1970年の自然公園法の改定により，環境庁長官が国立公園と国定公園の海域内に指定する。
→関連項目海域公園｜国立公園｜竜串

出典　株式会社平凡社

日本大百科全書(ニッポニカ)

海中公園
かいちゅうこうえん

→海域公園

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)

世界大百科事典（旧版）内の海中公園の言及

【公園】より

…自然公園のうち都道府県立自然公園は，都道府県によって管理されている公園で，昭和初期以降に国立公園の指定と並行して設けられた地域制の自然公園である。1970年には海中や海底の自然を保護し，一般の観賞に資するために，国立公園，国定公園区域の海域に海中公園地区が設けられた。とくに環境問題は今日の社会的課題であり，93年に制定された環境基本法の精神にのっとって自然公園等の事業も新たな公共事業として位置づけられるようになった。…

【国立公園】より

…国定公園は国立公園に比肩する優れた自然景観を保護するものであるが，一方では自然景観が特に傑出していなくとも，大都市に近接し，野外休養地として高い価値をもつものも指定されている。なお，国立公園と国定公園区域の海面内に，海中の景観を維持するために，海中公園地区が指定されている。国立公園や国定公園の指定に当たって，環境庁長官は自然環境保全審議会の意見を聴くことが必要とされている。…

※「海中公園」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」