池谷信三郎(読み)いけたにしんざぶろう

精選版 日本国語大辞典 「池谷信三郎」の意味・読み・例文・類語

いけたに‐しんざぶろう【池谷信三郎】

小説家劇作家。滞欧経験を書いた「望郷」で文壇登場演劇活動にも従事した。小説「おらんだ人形」「有閑夫人」など。明治三三~昭和八年(一九〇〇‐三三

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デジタル大辞泉 「池谷信三郎」の意味・読み・例文・類語

いけたに‐しんざぶろう〔‐シンザブラウ〕【池谷信三郎】

[1900~1933]小説家・劇作家。東京の生まれ。ドイツ留学に取材した小説「望郷」で文壇に登場。モダニズム作風で知られた。他に小説「」「有閑夫人」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「池谷信三郎」の意味・わかりやすい解説

池谷信三郎
いけたにしんざぶろう
(1900―1933)

小説家、劇作家。東京生まれ。1922年(大正11)東京帝国大学法学部入学後すぐ休学して渡欧、ベルリン大学法学部に籍を置いて演劇、舞踊などに凝ってヨーロッパ文化を吸収した。1923年関東大震災で実家が焼失したため帰国。1924年、生活の資を文学に求めて、ベルリン生活に取材した『望郷』を『時事新報』懸賞小説に応募して当選(1925年1~6月発表)し作家生活に入る。1925年村山知義(ともよし)、河原崎(かわらさき)長十郎らと劇団「心座(こころざ)」を結成し劇作にも力を入れた。新感覚派運動にも共鳴し、清純な魔性の女を描いた代表作『橋』(1927)がある。新興芸術派にも参加し『有閑夫人』(1930)を刊行結核のため33歳で早逝。

[神谷忠孝]

『神谷忠孝著『池谷信三郎と横光利一』(『横光利一論』所収・1978・双文社出版)』

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朝日日本歴史人物事典 「池谷信三郎」の解説

池谷信三郎

没年:昭和8.12.21(1933)
生年:明治33.10.15(1900)
大正昭和時代の小説家,劇作家。東京京橋生まれ。質屋の老舗の息子。暁星小学校,東京府立一中,一高文科乙類を経て,大正11(1922)年東京帝大法学部に入学。休学してベルリン大学法科に籍を置くが,同12年関東大震災のため帰国。ベルリン生活に取材した『望郷』によって『時事新報』懸賞小説に当選,新感覚派の作家とされデビューする。大正14年,村山知義,河原崎長十郎らと劇団心座を結成,自作の戯曲「三月三十二日」を第1回公演として上演。東京帝大文芸部の『朱門』創刊にも尽力。昭和5(1930)年,心座の大衆座への合流により,劇団蝙蝠座を結成するが,肺結核で33歳で死去。著作集に『池谷信三郎全集』全1巻(1934)がある。

(佐伯順子)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「池谷信三郎」の意味・わかりやすい解説

池谷信三郎
いけたにしんざぶろう

[生]1900.10.15. 東京
[没]1933.12.21. 東京
小説家,劇作家。東京大学法学部中退後,ベルリン大学法科に入学,1923年関東大震災のため帰国し,ベルリン生活に取材した『望郷』 (1925) を発表,以後作家生活に入った。 25年村山知義らと「心座」,30年には中村正常らと「蝙蝠 (こうもり) 座」などの劇団を起したが,翌 31年,喀血して再起不能となった。都会人の愛欲の種々相を軽快なタッチで描き,新感覚派の一員と目された。代表作『橋・おらんだ人形』 (27) 。死後『池谷信三郎全集』 (34) が刊行され,36年菊池寛によって「池谷信三郎賞」が創設された。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「池谷信三郎」の解説

池谷信三郎 いけたに-しんざぶろう

1900-1933 大正-昭和時代前期の小説家,劇作家。
明治33年10月15日生まれ。大正13年「時事新報」懸賞小説に応募した「望郷」が当選。14年村山知義(ともよし),河原崎長十郎らと劇団心座(こころざ)を結成。作風は新感覚派にちかく,川端康成,横光利一らと交遊した。昭和8年12月21日死去。34歳。東京出身。東京帝大中退,ベルリン大中退。代表作に「橋」「有閑夫人」。

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