汐首岬(読み)しおくびみさき

日本歴史地名大系 「汐首岬」の解説

汐首岬
しおくびみさき

戸井町のほぼ中央部南端にある岬。津軽海峡を挟んで本州最北端の青森県大間おおま弁天べんてん島と一七・五キロの最短地。近世初期汐首村は東蝦夷地との境にあたり(元禄郷帳)松前藩は当岬を境とした(戸井町史)沖合潮流は流れが複雑で速く、航行する船舶を悩ませる難所で、汐の首の地名の由来ともいわれる。寛政(一七八九―一八〇一)の初めに二度来往した菅江真澄は「蝦夷迺天布利」に「釜屋の磯をへて、汐首の崎にこぎ入るゝほど舟の行なやむ。この灘の迫門は、三の潮瀬に逾へてはげしさいはんかたなう、みなぎりおつる滝などのごとく、こゞしき濤の雲とたち、霧となびき雪と砕てちりぬ。これを塩興リとて、その音は鳴神にひとし。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「汐首岬」の意味・わかりやすい解説

汐首岬
しおくびみさき

北海道南西部、渡島(おしま)半島の南東部を占める亀田(かめだ)半島南端の岬。函館市(はこだて)汐首町に属す。約20キロメートルの津軽海峡を隔てて青森県下北(しもきた)半島の大間崎(おおまざき)と対し、北海道、本州の最短地にあたる。岬名はアイヌ語のシリ・ポク(山・下の意)の転訛(てんか)。岬の近くの海岸段丘上に1893年(明治26)点灯の汐首岬灯台がある。恵山(えさん)道立自然公園の一部で、付近の海域コンブ漁獲で知られる。

[瀬川秀良]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「汐首岬」の意味・わかりやすい解説

汐首岬
しおくびみさき

北海道南西部,亀田半島の南端にある岬。函館市に属し,付近には海岸段丘が発達。北海道のなかでは本州に最も接近し,幅 18kmの津軽海峡を隔てて青森県下北半島の大間崎と相対する。岬の頂上に極超短波無線中継所があり,西方函館山東方に恵山を望むことのできる景勝地ツツジ名所でもある。

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世界大百科事典(旧版)内の汐首岬の言及

【戸井[町]】より

…漁獲高の多いものは,コンブ,イカなどである。恵山(えさん)道立自然公園に含まれ,柱状節理の絶壁や奇岩の多い海岸線の続く日浦海岸や,下北半島突端の大間崎と向かい合う汐首(しおくび)岬,武井(むい)ノ島などの景勝地がある。国道278号線が通じる。…

※「汐首岬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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