柔(漢字)

普及版 字通 「柔(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 9画

(異体字)
25画

[字音] ジュウ(ジウ)・ニュウ(ニウ)
[字訓] やわらか

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
矛(ぼう)+木。〔説文〕六上に「木、曲直するなり」とし、矛声。また〔段注〕に木を曲直するを矛というとするが、いずれも声義が合わない。字の初文は、おそらくに作るもので、「きを柔らげ、きを能(をさ)む」という語を金文に「きを(やは)らげ、(ちか)きを能む」のようにしるしている。(ゆう)に従い、酒器(どう)は礼装した人が酒に酔い、両袖を揚げ、足をあげて歌舞する形。「擾(みだ)れる」の初文は、もとに従うべき字である。神前に酒を酌み、手足をあげて歌舞し、神意を安んじ柔らげることをいうもので、のち柔の字を代用する。柔に含まれる矛形の部分は柔枝を揉撓(じゅうとう)(ためまげる)した形を示すものとみるべく、矛戟の字に従うものではない。と柔は声近く、のち柔を用い、の字は失われた。〔説文〕(しゆ)部九上に「は面和するなり。讀みて柔の(ごと)くす」とあり、そのが、おそらくの省変の字であろう。

[訓義]
1. やわらか、やわらげる、神意をやわらげる。もとに作る字である。
2. やすらか、おだやか、いつくしむ。
3. しなやか、木の枝をたわめる。
4. よわい、もろい、おだやか、したがう。

[古辞書の訓]
名義抄〕柔 ヤハラカニ・ヤハラカナリ・ヤスシ・ヤスクス・ヨシ・ワロシ 〔字鏡集〕柔 ヨシ・ヤハラカナリ・ヤスクス・ヨハシ・アツラカ・アツム・ヤスシ・ヤハラグ・シタガフ

[声系]
〔説文〕に柔声として鞣・など八字を収める。みな柔らげて曲直を加える意のある字である。

[語系]
柔・鞣・脇・njiuは同声。擾()・njiuも同声。擾は古くはに従う字で、この字形に近い(き)は〔書、舜典〕に神話的な楽祖として伝えられる。柔弱の意は柔の字義で、(肉)njiuk、(弱)njikはその系統の語である。

[熟語]
柔握・柔安・柔易柔瑩・柔液・柔遠柔婉・柔・柔嘉・柔革・柔滑柔奸・柔竿柔閑・柔柔彊・柔郷・柔謹・柔恵・柔謙柔愿・柔剛柔毫・柔克柔剋・柔日・柔弱・柔従・柔淑・柔順・柔潤・柔条・柔情・柔穣・柔心・柔仁・柔・柔舌柔懦柔態柔穉・柔腸柔橈・柔・柔軟・柔・柔範柔轡柔媚柔撫・柔風・柔木・柔麻柔曼・柔民柔冶・柔良・柔麗・柔櫓・柔和
[下接語]
温柔・懐柔・外柔・涵柔・寛柔・軽柔・謙柔・剛柔・克柔・細柔・弱柔・輯柔・仁柔・繊柔・善柔・体柔・卑柔・撫柔・芳柔・優柔・和柔

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報