振回(読み)ふりまわす

精選版 日本国語大辞典 「振回」の意味・読み・例文・類語

ふり‐まわ・す ‥まはす【振回】

〘他サ五(四)〙
① 手や、手に持った物を空中で勢いよく動かしたり回転させたりする。
※宇治拾遺(1221頃)一「ある僧の〈略〉鐘木をとりてふりまはして、打ちもやらで」
② やたらに口に出す。
落語思案の外幇間の当込み(1889)〈三代目三遊亭円遊〉「お世辞を振り廻しながら」
③ 知識や権威などをむやみにひけらかす。
※思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉一〇「鈴江君が今はいよいよ姉の威光をふりまはして」
④ 人に指図して、しかるべき所に所属させる。
湯島詣(1899)〈泉鏡花〉三一「渡者を振廻して処処米屋に稼がして置く」
⑤ ある人の勝手な行動や突発的な事件が、それに対する対応を迫る。現代では主に受身の形で用いる。
恋慕ながし(1898)〈小栗風葉〉「頑なお庸(つね)が倨傲心(きょがうしん)は〈略〉今も仍(なほ)長州の藩儒足利澹斎の娘を振回(フリマハ)してゐるのである」
※明日への楽園(1969)〈丸山健二〉三「複雑さに振りまわされていたんでは何一つとしてなし遂げられませんからね」

ふり‐まわし ‥まはし【振回】

〘名〙
① ふりまわすこと。また、そのやりかた。
曾我物語(南北朝頃)九「女どもあまたあるべきぞ。太刀のふりまはし心へ候へ」
金銀融通。やりくり。また、それを自由にできること。
仮名草子・見ぬ京物語(1659)上「財物不足して、身のふりまはし成かたきからき世の中いかがせんと」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android