押付(読み)おしつける

精選版 日本国語大辞典 「押付」の意味・読み・例文・類語

おし‐つ・ける【押付】

〘他カ下一〙 おしつ・く 〘他カ下二〙
① 上から重みをかけておさえる。また、力を入れて押し、あるものに付着させる。
※宇津保(970‐999頃)蔵開上「白き薄様に書きてをしつけたまふ」
平家(13C前)七「とって引よせ、鞍のまへわにおしつけ」
威力を示して自由なふるまいをさせないようにする。抑圧する。圧倒する。
※評判記・色道大鏡(1678)六「髪をきるは、女にいひまはし押(ヲシ)付てもさする業(わざ)也」
③ むりにやらせる。むりに引き受けさせる。
(イ) (助動詞「た」「たる」、助詞「て」を伴って) むりにする。強引にする。
※玉塵抄(1563)五五「明匠の点を下さしむたほどにをし付たことはあるまいぞ」
※浮世草子・世間胸算用(1692)二「近ごろ押付(オシツケ)たる所望なれども、わたくしもらひまして聟にいたします」
(ロ) むりに受け取らせる。むりに責任をとらせる。
※浮世草子・武道伝来記(1687)七「今はぜひに叶(かなは)ず押付(ヲシツケ)て貰ふべしと」
④ 念を押す。
※上杉家文書‐(年月日未詳)(室町)直江兼続自筆書状「御条目に而おしつけおしつけたづね」
⑤ たかぶる感情をおさえる。がまんする。抑制する。
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉九「激昂したのをば無理無体に圧着(オシツ)けた為めに」

おし‐つけ【押付】

[1] 〘名〙
① 押し付けること。強く触れさせること。また、物が強くあたる所。
塵芥集(1536)九〇条「川くつれはをし付次第たるへきなり」
草木の花や葉を布に強くこすりつけて染めること。すりぞめ。〔運歩色葉(1548)〕
※金刀比羅本保元(1220頃か)上「八大龍王の形を金をもって打ちのべて、〈略〉鎧の胸板・をしつけに付けたる間」
軍船の右のふなべり。
⑤ 近い将来。間もない頃。
※歌舞伎・菊模様法の燈籠(傾城玉菊)(1857)二幕「花が散って押付(オシツケ)になると、桜んぼうができるぞえ」
⑥ (形動) むりじいをするさま。むりやり。
多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前「『まあ能く見てくれたまへ』と推付(オシツケ)に手渡す」
[2] 〘副〙 そのうち。まもなく。おっつけ。
歌謡・松の葉(1703)三「九つ小太夫はをしつけ小蔵を建てそめて、家もさかいやの女郎屋、揚屋大黒舞と、夜店太鼓で囃(はや)した」
滑稽本浮世風呂(1809‐13)前「是(こりャ)ア病気だからおしつけ治(なほら)ア」

おっ‐つ・ける【押付】

〘他カ下一〙 おっつ・く 〘他カ下二〙 (「おしつける(押付)」の変化した語)
① 上から重みをかけておさえる。また、力を入れて押し、あるものにくっつける。
咄本・無事志有意(1798)拾い物「眼の下へ指をおっ付て、『ベヱイベヱイ』」
② むりにやらせる。むりに引き受けさせる。
史記抄(1477)三「なぜにと云は人心━ちがいめがあるものぢゃほどにをっつけた事をばせぬぞ」
③ 相撲で、自分の脇をぴったりつけて相手に差させないと同時に、はさみつけて攻める。

おっ‐つ・く【押付】

[1] 〘自カ四〙 (「おっ」は接頭語) ぴったりくっつく。
※人情本・英対暖語(1838)五「私もお前もお互に和合(なかよく)して、朝晩此様(こんな)に押付(オッツキ)合て居るから」
[2] 〘他カ下二〙 ⇒おっつける(押付)

おし‐つ・く【押付】

[1] 〘自カ四〙 (「おし」は接頭語) ぴったりくっつく。
※人情本・英対暖語(1838)初「ツイ私の顔があなたのお顔へ押付(オシツイ)たのでござゐますヨ」
[2] 〘他カ下二〙 ⇒おしつける(押付)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

日本歴史地名大系 「押付」の解説

押付
おしつけ

[現在地名]津南町外丸 押付

外丸とまる村本村の南、信濃川左岸沿いにある。外丸村の枝村。東の対岸は下船渡しもふなと大割野おおわりの。大割野から善光寺道を分岐して現在の信濃川橋を渡る道が北西へ樽田たるだを経て天水越あまみずこし(現東頸城郡松之山町)へ通じる。地名は川瀬に押付けられた土地の形態に由来するという。正保国絵図に高一二〇石余とみえる。正保三年(一六四六)の古高につき指上帳控(津端一郎氏蔵)では、田七四石五斗余・畑二六石一斗余・青苧高五石二斗余・白布高五石二斗。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報