房戸(読み)ぼうこ

精選版 日本国語大辞典 「房戸」の意味・読み・例文・類語

ぼう‐こ バウ‥【房戸】

〘名〙
部屋出入口。また、部屋と戸。〔儀礼‐士冠礼〕
奈良時代戸籍などに現われる戸の構成単位実際の家族単位に近いもので数戸で郷戸(ごうこ)を構成する。
正倉院文書‐天平一二年(740)遠江国浜名郡輸租帳「新居郷官戸壱伯壱拾 伍捨・郷戸陸拾、房戸」

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デジタル大辞泉 「房戸」の意味・読み・例文・類語

ぼう‐こ〔バウ‐〕【房戸】

律令制における呼称の一。郷戸の中に含まれる10人前後の小家族

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普及版 字通 「房戸」の読み・字形・画数・意味

【房戸】ぼう(ばう)こ

門戸。家。〔史記、呂太后紀論賛〕高后、女制し、を出でず、天下晏然たり。刑罰用ふること罕(まれ)に、罪人是れ希(まれ)なり。

字通「房」の項目を見る

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「房戸」の意味・わかりやすい解説

房戸
ぼうこ

715年(霊亀1)から740年(天平12)までの間に、郷戸(ごうこ)の下に設定された戸の単位。この期間は郷の下に里(り)が置かれ、律令(りつりょう)政府農民の掌握政策が強化されたことと関連して設置されたもの。721年(養老5)の下総(しもうさ)国葛飾(かつしか)郡大嶋(おおしま)郷戸籍に実例がある。

[鬼頭清明]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「房戸」の解説

房戸
ぼうこ

房とも。戸は律令制下の人民の基本的単位集団戸令には50戸で1里を構成する規定があるが,717年(養老元)の郷里制施行によって,従来の里は郷と改称され,郷の下に2~3の里(コザト)が新設された。これにともない従来の戸も2~3の戸に分割され,従来の戸を郷戸(ごうこ),その下に新設された戸を房戸とよぶようになった。この時点の房戸は郷戸に比べて農民の実態家族に近く,課役の確実な収取が期待されたとみられる。やがて房戸と実態の乖離も進み,739~740年(天平11~12)の郷里制廃止とともに意味を失い,郷戸のなかに解消された。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「房戸」の意味・わかりやすい解説

房戸
ぼうこ

律令制時代の戸の一呼称。戸籍上の単位である郷戸 (ごうこ) を構成する 10人内外の小家族。初め郷戸は複数の房戸によって構成され,班田収授,租税などの単位であったが,天平時代になると房戸が賦課の単位とされるようになった。やがて戸籍,計帳のうえでは廃止された。

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改訂新版 世界大百科事典 「房戸」の意味・わかりやすい解説

房戸 (ぼうこ)

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百科事典マイペディア 「房戸」の意味・わかりやすい解説

房戸【ぼうこ】

郷戸(ごうこ)

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旺文社日本史事典 三訂版 「房戸」の解説

房戸
ぼうこ

律令制下,地方行政の末端組織。➡ 郷戸・房戸

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世界大百科事典(旧版)内の房戸の言及

【郷戸・房戸】より

…この里は郷里制の施行以後はと改称されたから,以後この郷を構成する戸を郷戸と呼ぶ。郷戸には戸主が置かれ,班田収授や貢租徴税の単位とされたが,郷里制の施行期間(715‐740)にはその郷戸内部をさらに1~3の房戸にわけ,郷戸と並んで貢租徴税上の責任を負わせることが行われた。郷戸は郷の構成単位であるのに対し,房戸は郷の下に新たに設けられた2~3の里(コザト)の構成単位とされたのである。…

※「房戸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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