精選版 日本国語大辞典「部屋」の解説
へ‐や【部屋】
〘名〙
① 家の内で、一定の人の用にあてる室。曹司。
※宇津保(970‐999頃)祭の使「くさむらの蛍を集め、冬は雪をつどへて、へやにつどへたること、年かさなりぬ」
② 座敷。間(ま)。
※俳諧・ゆずり物(1695)「ほたゆる牛を人に借らるる〈芭蕉〉 台所の続に部屋の口明て〈素牛〉」
③ 殿中で、宮仕えの女の居間。局(つぼね)。長局。
④ 室町中期以降、将軍の一族の者が将軍の寝所の宿直をするためにつめている室。
⑤ 妾(めかけ)となって室を賜わった召使。
⑥ 物を入れる所。物置。
※落窪(10C後)一「くるる戸の廂ふたまあるへやの、酢・酒・魚など、まさなくしたるへやの、ただたたみひとひらくちのもとにうちしきて」
⑦ 近世、諸大名の屋敷で、小者(こもの)、人足などの詰所。
⑧ 近世、品川などの岡場所で、遊女屋の主人と家族のいる所。また、遊女屋の主人をいう。
※洒落本・多佳余宇辞(1780)「こんな事をすりゃア、おはりより直に、部屋へ云っ付るに」
⑨ 「すもうべや(相撲部屋)」の略。
※歌舞伎・神明恵和合取組(め組の喧嘩)(1890)四幕「藤島の部屋(ヘヤ)のものが」
⑩ あちこちにぽつんと建っている小屋。
※俳諧・曠野(1689)八「夏山や木陰木陰の江湖部屋〈蕪葉〉」
⑪ ⇒おへや(御部屋)
⑫ 旅館やホテル、アパートなどで、宿泊や生活するための一区画。
※西洋道中膝栗毛(1874‐76)〈総生寛〉一三「部屋(ヘヤ)の鍵を請取り」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報