精選版 日本国語大辞典 「憧・憬」の意味・読み・例文・類語
あく‐が・れる【憧・憬】
① 居所を離れてさまよう。また、あるものに心をひかれて、出かける。
※貫之集(945頃)六「思ひあまり恋しき時は宿かれてあくがれぬべき心地こそすれ」
② ある対象に、何となく心がひかれる。心が、からだから離れる。うわのそらになる。
③ いとわしく思うようになって離れる。男女の仲がうとくなる、世を避けようとする、などにいう。
④ (心がひかれるところから) 気をもむ。気が気でなくなる。
※読本・南総里見八犬伝(1814‐42)三「離れかたきは女子(をなこ)の誠、分つ袂にふり棄られて、あくがれて死(しな)んより、おん身刃(やいば)にかけてたべ」
⑤ 理想とするもの、また、目ざすものなどに心が奪われて落ち着かなくなる。また、それを求めて思いこがれる。
※延慶本平家(1309‐10)六本「花にあくかるる昔を思出して」
あくがら・す【憧・憬】
〘他サ四〙 (「あくがれる」の他動詞形)
① 流浪させる。さすらわせる。
※蜻蛉(974頃)中「かくのみあくがらしはつるはいとあしきわざなり」
② 美しいものなどが、人の心をひきつける。心の落ち着きをなくさせる。そわそわさせる。
※和泉式部集(11C中)上「梅が香におどろかれつつ春の夜はやみこそ人はあくがらしけれ」
あくがれ【憧・憬】
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