(読み)あこがれる

精選版 日本国語大辞典 「憧」の意味・読み・例文・類語

あこが・れる【憧】

〘自ラ下一〙 あこが・る 〘自ラ下二〙 (「あくがる」の変化したもの)
居所を離れてさまよう。また、心がある方面に引かれて、でかける。
平家(13C前)六「仲国龍の御馬給はって、名月に鞭(むち)をあげ、そこともしらずあこがれ行く」
太平記(14C後)四「せめて其の人の在所をだに知たならば、虎伏す野辺、鯨寄る浦なり共、あこがれぬべき心地しけれども」
② ある対象に、心がひかれる。
※太平記(14C後)一二「光源氏大将の、如(しく)物もなしと詠じつつ、朧月夜に軻(アコガレ)しは弘徽殿細殿
日葡辞書(1603‐04)「ツキ、ハナニ acogaruru(アコガルル)
③ (心がひかれるところから) 気をもむ。気が気でなくなる。
※幸若・大織冠(室町末‐近世初)「つはもの御てにすがり海へいれんとす。龍女はいとどあこかれて〈略〉とかきくどく」
※めぐりあひ(1888‐89)〈二葉亭四迷訳〉一「此方(こちら)は地を離て沖(あが)る事が出来ず、只徒らにあこがれて両手を延ばすのみ」
理想とするもの、目ざすものに心が奪われて、落ち着かない。また、それを求めて思いこがれる。
天地有情(1899)〈土井晩翠籠鳥の感「嗚呼青春の夢高く 理想のあとにあこがれて」
[語誌]→「あくがれる(憧)」の語誌

あこがれ【憧】

〘名〙 (動詞「あこがれる」の連用形名詞化) 理想とするもの、目ざすものを求めて、思いこがれること。また、その気持憧憬(しょうけい)
邪宗門(1909)〈北原白秋〉朱の伴奏・地平「かの青き国のあこがれ、つねに見る地平のはてに」

あく‐が・る【憧】

〘自ラ下二〙 ⇒あくがれる(憧)

あこが・る【憧】

〘自ラ下二〙 ⇒あこがれる(憧)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「憧」の意味・読み・例文・類語

しょう【憧】[漢字項目]

常用漢字] [音]ショウ(漢) ドウ(慣) [訓]あこがれる
あこがれる。「憧憬しょうけい憧憬どうけい

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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