素性(読み)そせい

精選版 日本国語大辞典 「素性」の意味・読み・例文・類語

そ‐せい【素性】

〘名〙
本来性質本性。すじょう。
※本朝文粋(1060頃)三・鳥獣言語〈菅原淳茂〉「斯則素性所資。同頼而異種矣」
血筋。家柄。すじょう。

そせい【素性】

平安前期の歌人。三十六歌仙の一人。俗名は良峯玄利(よしみねのはるとし)。父遍昭の命で出家。宇多天皇に用いられ、権律師となる。歌風は技巧的、理知的で「古今和歌集」の代表的歌人。家集「素性集」。生没年未詳。

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デジタル大辞泉 「素性」の意味・読み・例文・類語

す‐じょう〔‐ジヤウ〕【素性/素姓/素生/種姓】

血筋。家柄。また、生まれ育った境遇。生まれ。育ち。「―を明かす」「うじ―」
来歴。身もと。
出所由緒。いわれ。「―の確かな品」
[類語]身元氏素性経歴履歴前歴略歴過去学歴職歴病歴閲歴生い立ち育ち

そせい【素性】[人名]

平安前期の歌人。三十六歌仙の一人。俗名、良岑玄利よしみねのはるとし遍昭の子。左近将監、のち出家し、権律師ごんのりっしとなる。歌は古今集後撰集にある。家集「素性集」。良因朝臣よしよりのあそん。生没年未詳。

そ‐せい【素性】

本来の性質。本性。すじょう。

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朝日日本歴史人物事典 「素性」の解説

素性

没年:延喜9以後(909)
生年:嘉祥3以前(850)
平安前期の僧,歌人,三十六歌仙のひとり。遍昭の出家前の子。父の出家にともない,僧にさせられたらしい。昌泰1(898)年宇多法皇の吉野御幸のおり,大和国(奈良県)石上良因院より召されて,数日間「良因朝臣」と号して世俗の遊覧に従った逸話(『扶桑略記』)や,歌への執着が強かったと後世に言い伝えられたこと,高名であったにもかかわらず,僧位は高くなかったらしく「法師」とのみ記されていることなどから,仏道よりも和歌を本分とした人と思われる。『古今集』に選者3人に次ぐ36首が入集しており,この時代を代表する歌人として,その自在な詠みぶりが高く評価されていた。入集歌のひとつ「今こむと言ひしばかりに長月のありあけの月を待ちいでつるかな」は,のちに百人一首にもとられており,家集に『素性集』がある。また能筆としても知られ,延喜6(906)年および9年に,天皇の前で屏風に和歌を書いたという記事があり,仮名による書の先駆者的存在でもあったと思われる。

(内田順子)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「素性」の意味・わかりやすい解説

素性
そせい

生没年未詳。平安前期の歌人。貞観(じょうがん)~延喜(えんぎ)(859~923)ごろの人。三十六歌仙の一人。俗名良峯玄利(よしみねのはるとし)、別称良因朝臣(よしよりあそん)。六歌仙の一人僧正(そうじょう)遍昭(へんじょう)の在俗時代の子。初め宮廷に仕え、左近将監(さこんのしょうげん)であったが、出家し雲林(うりん)院に住み、ついで大和石上(やまといそのかみ)の良因院に移った。その間、宇多(うだ)天皇の知遇を得、896年(寛平8)雲林院行幸の日に権律師(ごんのりっし)になる。歌風は軽妙洒脱(しゃだつ)。家集に『素性集』がある。勅撰(ちょくせん)所載歌は『古今集』以下65首。

 いまこむといひしばかりに長月の有明けの月を待ちいでつるかな
[島田良二]


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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「素性」の解説

素性 そせい

?-? 平安時代前期-中期の僧,歌人。
遍昭(へんじょう)の子。三十六歌仙のひとり。父のすすめで出家,京都雲林(うりん)院や大和(奈良県)良因院にすんだ。和歌は「古今和歌集」に36首のほか勅撰集に多数おさめられている。かな書の名手でもあった。家集に「素性集」がある。延喜(えんぎ)9年(909)まで生存が確認されている。俗名は良岑玄利(よしみねの-はるとし)。
【格言など】今来むといひしばかりに長月の有明の月を待ち出でつるかな(「小倉百人一首」)

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