必(漢字)

普及版 字通 「必(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 5画

[字音] ヒツ
[字訓] かならず

[説文解字]
[金文]

[字形] 象形
柄のある兵器の、刃を装着する(ひつ)の部分の形で、の初文。戈(ほこ)・矛(ほこ)・鉞(まさかり)の頭部を柄に装着する形は弋(よく)、その刃光の発する形は必・(しゆく)で、は叔(白)の初文。その刃部を主調とする字である。〔説文二上に「極なり。弋に從ふ。弋は亦聲なり」とするが声が合わず、分極の意も明らかでない。弋は部の形であるが、金文にその形を「必ず」という副詞に用いる。

[訓義]
1. 兵器の部、の初文。
2. 仮借して必ずの意に用いる。
3. なす、ついに、もっぱらなどの意に用いる。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕必 カナラジ・カナラズ・モシ・トク・カナフ・ナラフ・アキラカナリ 〔立〕必 モシ・トク・シカモ・コトゴトク・ツヒニ・モハラス・カナフ・アキラカ・ナラフ・カナラフ(ズ)

[声系]
〔説文〕に必声として祕(秘)・(ふく)・(ふく)・・泌・・密・謐など二十六字を収める。必は鉞と同じく聖器として種々の呪儀に用いられるもので、祕・・密・謐などは、みなその儀礼に関する字である。また密は〔説文〕に(ふく)声とするが、金文の字形は二必に従う。中に二必をおき、火(山の形の部分、もと火の形)で清める密儀をいう字であった。

[熟語]
必固必死・必至必需必勝必賞必信・必須必然必争必定必当必読必罰必用・必要必力
[下接語]
可必・何必・固必・自必・専必・誅必・不必・未必

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報