精選版 日本国語大辞典 「引違」の意味・読み・例文・類語
ひき‐ちが・える ‥ちがへる【引違】
① ちがうようにする。まちがえる。とりちがえる。
② 交差させる。うちちがいにする。
③ 着物の衿を合わせて着る。
※古文真宝彦龍抄(1490頃)「三江をえりの如に引ちかへてきよよ」
④ 取りかえる。
[2] 〘自ア下一(ハ下一)〙 ひきちが・ふ 〘自ハ下二〙 入れちがいになる。ひきちがう。
ひき‐たが・う ‥たがふ【引違】
〘他ハ下二〙 (「ひき」は接頭語)
① 方向を変える。
※源氏(1001‐14頃)帚木「稀には、あながちにひきたがへ、心づくしなる事を、御心におぼしとどむる癖なむ、あやにくにて」
③ 予想、期待などを裏切る。予想と全くちがったありさまにする。
※源氏(1001‐14頃)澪標「世の中の人もさやうに思ひ寄りぬべきことなるを、ひきたがへ心清くてあつかひ聞えむ」
④ 約束などを破る。相手の心を裏切る。
ひき‐ちがい ‥ちがひ【引違】
〘名〙
① =ひきちがえ(引違)
③ 二枚以上の襖や障子などを二筋の溝により横に開閉できるようにしたもの。
※大道無門(1926)〈里見弴〉厄日「引(ヒ)き違(チガ)ひの格子戸に」
④ 背に交差させて用いる細長い旅行用の袋。
ひっ‐ちが・える ‥ちがへる【引違】
〘他ハ下一〙 ひっちが・ふ 〘他ハ下二〙 (「ひきちがえる(引違)」の変化した語。ヤ行にも活用した) まったくちがうようにする。正反対にする。
※杜詩続翠抄(1439頃)一一「然、如此 ひっちかへて言非力大則不可也」
※虎明本狂言・眉目吉(室町末‐近世初)「あまりみめをわるふむまれ付てござるによって、ひっちがへて、みめよしと名を付てござる」
ひき‐ちが・う ‥ちがふ【引違】
[1] 〘自ハ四〙 =ひきちがえる(引違)(二)
※歌舞伎・幼稚子敵討(1753)口明「『畏りましてござりまする』ト侍入。引ちがふて侍出る」
[2] 〘自他ハ下二〙 ⇒ひきちがえる(引違)
ひき‐たがえ ‥たがへ【引違】
〘名〙 中世、金銭・年貢などを立替えること。
※東寺百合文書‐に・長祿元年(1457)一二月一三日・丹波大山荘代官岡弘経書状「地下には一銭之引違も不レ可レ叶候」
ひき‐ちがえ ‥ちがへ【引違】
〘名〙 一方が出たすぐ後に、他方が入ってくること。いれちがい。〔黒本本節用集(室町)〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報