岡崎村
おかざきむら
[現在地名]左京区岡崎〈入江町・円勝寺町・北御所町・最勝寺町・真如堂前町・成勝寺町・天王町・徳成町・西天王町・西福ノ川町・東天王町・東福ノ川町・法勝寺町・南御所町〉・黒谷町
東は鹿ヶ谷・南禅寺門前二村と、西は聖護院村・二条川東と、北は吉田・浄土寺二村、南は粟田口村（現東山区）等と接する。白川の下流に位置し、平安前期より貴族の別荘地とされていたが、末期には六勝寺の建立や院御所の造営などによって開かれた。「百錬抄」承元二年（一二〇八）七月一九日条に「今日上皇御幸新造岡崎御所」とみえ、この頃には岡崎の地名が現れている。
室町時代には岡崎郷とよばれ、「賦引付」三に所収の大永八年（一五二八）三月一五日東山鹿谷内山本入道量阿申状には、「右岡崎郷内対彦三郎妻阿茶料足四貫文」云々とみえるが、この岡崎郷は東山十郷と総称されるものの一つで、十郷については「徳政賦引付」に次のようにみえる。
岡崎村
おかさきむら
[現在地名]串良町岡崎
南流する肝属川支流串良川右岸、笠野原台地南東部にある。南境を肝属川が東流し、北は串良郷有里村、東は串良川を挟んで同郷池之原村（現東串良町）、西は台地東部を南流する甫木川を境に下小原村。
北東部にある鶴亀城跡は串良城と称され、城地が古くは岩弘（現東串良町）に属したことから岩弘（岩広）城ともよばれたという（三国名勝図会）。文明六年（一四七四）の行脚僧雑録（旧記雑録）には串良とみえ、平田右馬介兼宗が当奉行として入っていた。明応四年（一四九五）四月兼宗が守護島津忠昌に背いたため串良城は豊州家の島津忠朝に攻撃された。兼宗降伏後串良は忠朝に与えられ、その叔父平山忠康が城将として配されたという（「西藩野史」など）。これは永正五年（一五〇八）一月のことともされる（新編伴姓肝属氏系譜）。同一七年八月一日には平山近久の守る串良城は肝付兼興に攻められたがこれを退け、大永四年（一五二四）九月二九日肝付兼興に再度攻撃され落城した（同書、「島津国史」など）。なお本来の城域は現町公民館北側の山から愛ヶ迫（相ヶ迫）・諏訪原に連なる山で、自然の谷間と人工の堀で要塞をなしていた（串良郷土誌）。文久三年（一八六三）の一之宮大明神十五社大明神神社由緒其外取調帳（同書）の上諏方大明神（現在月読神社へ合祀）の項には、同社地が串良城の野首の城で、南の下諏方大明神まで城丸九つが連なり、「稲荷之城」「平城」などとよばれたとある。
岡崎村
おかさきむら
[現在地名]三隅町三隅
三隅川右岸の河岸段丘上に位置し、西は向野田村、東は東平原村・蘆谷村、北は折居村・西河内村。小字に森溝・岡崎・子落・神本・小野・上市・下市・山家などがある。元和五年（一六一九）の古田領郷帳には岡崎本郷、正保四年（一六四七）の古田領郷帳には岡崎村とみえ、一般に三隅とよばれる上市・下市の地域は町場を形成していた。山陰道は東平原村から石田へ出て現国道九号とほぼ並行して向野田村へ至り、上市はその宿場であった。元和五年の古田領郷帳では高五一七石余、年貢高は田方二〇四石余・畑方九九石余。寛政元年（一七八九）の巡見使案内懐中記（福原家文書）では高五二五石余、人高九五四（うち上市分五四七）・家数二二五（うち上市分一三八）。
岡崎村
おかざきむら
[現在地名]袋井市岡崎
城東郡に所属。小笠山丘陵の南西端丘陵部と平地に立地。三沢川と弁財天川に挟まれる。北東は菩提新田。中世は笠原庄のうち。応永二年（一三九五）から同三年に書写された大般若経奥書（大木信雄氏蔵）によると、「遠州笠原庄木根郷光照院」において書写された。光照院（現曹洞宗）は村内の寺で、当地は笠原庄木根郷といったようである。天文一七年（一五四八）二月二四日の小笠原氏興寄進状（龍巣院文書）によれば、氏興は「岡崎」の沙汰人福島右馬助が開発、村内の龍巣院（現曹洞宗）に寄進した五段の地を追認している。天正一三年（一五八五）四月吉日の撰要寺領坪付帳（撰要寺文書）によれば「岡崎分」一八貫九〇〇文が撰要寺（現大須賀町）領であった。
岡崎村
おかざきむら
[現在地名]鳴門市撫養町岡崎
撫養川河口東岸にあり、北は小鳴門海峡に面する。東は里浦、南は林崎浦、南西は弁財天村と接する。古代から牟夜戸とか撫養津などとよばれ、上方や淡路との海上交通に重要な湊として繁栄した。淡路街道の淡路への渡海地点で、また阿讃山脈南麓に沿って西進する撫養街道の起点ともなっていた。小鳴門海峡対岸の土佐泊浦との間に岡崎渡（土佐泊渡）がある。「鳴門辺集」によれば、天正年中（一五七三―九二）に撫養城主四宮加賀守の子孫四宮関之丞によって林崎とともに開発され、拾四軒屋と称したが、しだいに繁盛し岡崎村となったという。正保国絵図には「林崎之内拾四間屋」とある。天和二年（一六八二）の蔵入高村付帳では岡崎村とあり、蔵入高三五石余。文化一〇年（一八一三）の高都帳では高四六石余。「阿波志」によれば土田は三等雑陸田、反別五町七反余。旧高旧領取調帳では高六四石余は蔵入地のみとなっている。「鳴門辺集」によると寛政七年（一七九五）頃には一五〇軒余で、諸商売・船稼で渡世するほか産業・産物はないとある。
岡崎村
おかさきむら
[現在地名]湖西市新所原二―三丁目・新所原東・駅南一―二丁目・岡崎・新所岡崎梅田入会地
吉美市場村の北に位置し、東は浜名湖に面する。笠子川が北東流し湖に注ぐ。当地は中世には新所郷内に含まれていたとみられ、曹洞宗法華寺に寺領を安堵した永禄三年（一五六〇）一二月一六日の今川氏真判物（法華寺文書）や天正二年（一五七四）一二月二八日の徳川家康判物（徳川家判物并朱黒印）には法華寺を新所の内としている。元亀元年（一五七〇）一〇月一四日、徳川家康は三河岡崎随念寺に井賀谷を諸役不入として寄進している（「徳川家康判物」随念寺文書）。
岡崎村
おかざきむら
[現在地名]加茂町大字岡崎
河原村の東、木津川北岸の村で、北は伊賀街道で登大路村に境する。東には流ヶ岡があるが、「西北部ハ土地平坦ニシテ田圃多シ、而シテ人家ハ村ノ中央稍西」にあった（京都府地誌）。恭仁京大内裏の南西にあたり、また甕原離宮は岡崎村域と東隣の井平尾村の間にあったという（「山城志」ほか）。
明暦元年（一六五五）までは津藩藤堂家知行地であった（宗国史）。享保一四年（一七二九）の山城国高八郡村名帳による村高は三四九・八七八石で、禁裏御料とされた瓶原郷四ヵ村の一。
岡崎村
おかざきむら
[現在地名]安堵村大字岡崎
東安堵村東方、岡崎川沿いに位置。建保二年（一二一四）の入道蓮慶処分状（額安寺文書）の「同郡飽波東郷九条五里十五之内（中略）字岡垣内」の地。
文禄四年（一五九五）の検地奉行は嶋左近。慶長郷帳の村高三三一・八四石。慶長六年（一六〇一）竜田藩（片桐且元）領、寛永一六年（一六三九）有馬左衛門佐内儀領となる。
岡崎村
おかざきむら
[現在地名]白石町大字大渡字岡崎
鳥巣村の北にあり、六角川はこの村の北部を流れている。正保絵図に村名がみえる。
この地も古墳時代までは有明海の海岸線であり、岡崎の名が生れたものと思われる。平安時代は長島庄に属し、蓮華王院領。鎌倉時代には伊予宇和郷から転封されてきた長島庄の惣地頭、潮見城主橘薩摩氏の所領であった。
岡崎村
おかざきむら
[現在地名]大和高田市大字岡崎
有井村西南方にあり、岡崎は岡前の義か。領家山がある。長禄四年（一四六〇）一〇月二三日の弥清次・憲盛・鬼鶴丸連署契状案（談山神社文書）には「契約申磯野与岡崎之里際目事」とあり、磯野際目西端横大路より北へ二町、岡崎の里の辰巳（東南）に榜示を定め多武峯寺と万歳氏との相論を防止している。なお欠年の金峯山免田田数注進状（天理図書館保井文庫）には、二四条五里三二坪に「五反、山王敷地」が記され、坪付に従えば、当村稲荷神社にあたる。
岡崎村
おかざきむら
[現在地名]苅田町岡崎
片島村の西に位置し、高城山から南へ派生する山地の麓、小波瀬川中流域の平野部に立地する。元和八年人畜改帳に村名がみえ、高三三八石余、家数一八・人数四四（うち百姓六・名子一）、牛五・馬一。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
