袋井市(読み)フクロイシ

デジタル大辞泉 「袋井市」の意味・読み・例文・類語

ふくろい‐し〔ふくろゐ‐〕【袋井市】

袋井

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日本歴史地名大系 「袋井市」の解説

袋井市
ふくろいし

面積:八〇・一〇平方キロ

県の西部に位置し、東は掛川市、西は磐田市、南は磐田郡浅羽あさば町と小笠おがさ大須賀おおすか町・大東だいとう町、北は周智しゆうちもり町と磐田郡豊岡とよおか村に接する。西部域を太田おおた川が南流し、中央南寄りを東より南西流する原野谷はらのや川に宇刈うがり川・沖之おきの川・さか川・八多沢はつたざわ川・小笠沢おがさざわ川などが合流している。市域は遠州海岸平野とよばれる沖積低地の一角を占め、低地総面積は五三パーセント余。穀倉地帯である。ほかは北部と南部に広がる丘陵および台地段丘斜面。

〔原始・古代〕

市域に登録されている遺跡数は二三〇余。このうち古墳のまとまりは一と数えているから総数ははるかに多い。北西部の磐田原台地に山田原やまだばら遺跡と総称される旧石器時代後期の大きな遺跡がある。周辺には縄文時代遺跡もある。南東部は小笠山北西部の丘陵地帯で、長者平ちようじやびら遺跡では縄文中期の集落跡、大畑おおばたけ遺跡では貧弱ながら貝塚を伴う縄文中期から後期にかけての集落跡が調査されている。大畑遺跡の貝塚は東海の貝塚群の東限をなす。弥生時代の遺跡は太田川と原野谷川の流域に展開している。太田川左岸の平野部には鶴松つるまつ徳光とくみつ土橋つちはし川田かわだ鶴田つるたといった中期から後期にかけての大遺跡が連なる山科やましな遺跡群が形成されている。原野谷川流域では坂尻さかじり遺跡西方下層から中期の水田跡が検出された。愛野あいのから袋井市街地にかけて、さらに南の浅羽町境では段丘や丘陵に集落と墓地が営まれている。集落遺跡としては愛野向山あいのむかいやま遺跡や大門だいもん遺跡、墓地では団子塚だんごづか遺跡などが注目される。

四世紀代の古墳は未確認で、五世紀以降狐塚きつねづか権現山ごんげんやま坊主山ぼうずやま東山ひがしやま六号といった前方後円墳が築かれた。大門大塚だいもんおおつか古墳は六世紀の大型円墳で、地域の首長墓とみられる。袋井市域の六―七世紀に営まれた群集墳の特徴は、小円墳群と横穴群の顕著な併存である。前者では長者平古墳群、後者では宇刈横穴群すげ横穴群が知られている。とくに菅ヶ谷横穴群は、百八ひやくやあなとよばれ、古くから知られていた。南部には、六世紀の埴輪と須恵器を焼成した衛門坂えもんざか古窯跡がある。

当市域に関係し、「国造本紀」にみえる遠江国久努国造は山名やまな久努くど郷域の氏族と考えられている。「和名抄」の遠江国周智すち小山おやま郷・山田やまた郷、山名郡山名郷・宇知うち郷・久努郷佐野さや日根ひね郷域などが市域に比定される。

袋井市
ふくろいし

2005年4月1日:袋井市と磐田郡浅羽町が合併
【袋井市】静岡県
【浅羽町】静岡県:磐田郡

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「袋井市」の意味・わかりやすい解説

袋井〔市〕
ふくろい

静岡県南西部,太田川の左岸にある市。南部は遠州灘に面する。 1958年市制。 1963年山梨町を編入。 2005年浅羽町と合体。市街地の中心部を支流の原野谷川が流れる。袋井は江戸時代には東海道宿場町として繁栄。東海道本線開通後は中遠地方の物資の集散地として発展。楽器,機械などの工場が進出し,工業都市に転換した。周辺の農村部では温室メロン,チャ (茶) ,花卉の栽培が行なわれる。付近には法多山尊永寺,富士浅間宮油山寺などの古社寺がある。東の市境に小笠山 (264m) があり,5万人収容のスタジアムを擁する小笠山総合運動公園がある。市域の一部は御前崎遠州灘県立自然公園に属する。 JR東海道本線,国道1号線,150号線が通り,東名高速道路のインターチェンジがある。面積 108.33km2。人口 8万7864(2020)。

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