朝日日本歴史人物事典 「尾上菊五郎(4代)」の解説
尾上菊五郎(4代)
生年:文化5(1808)
江戸後期の歌舞伎役者。女形。通称梅幸菊五郎。屋号音羽屋。大坂で生まれ,中村歌六に入門。京坂の宮芝居で修業し,天保2(1831)年,3代目尾上菊五郎の女婿となり,尾上栄枝と改めて師匠について江戸へ下り,3代目栄三郎,4代目梅幸と改名。江戸で名をあげ,安政2(1855)年に4代目菊五郎を襲名する。落ち着いた気品のある風姿で,娘役より年増役,世話物より時代物に適した。ベタベタした台詞回しは,伝法肌の役柄には不向きであった。当たり役に政岡,戸無瀬,定高,お岩など。53歳で没するが,妻お蝶も同日に後を追うように息を引き取ったという。<参考文献>伊原敏郎『近世日本演劇史』,3代目中村仲蔵『手前味噌』(郡司正勝校訂/復刻,1969)
(赤間亮)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報