小回・小廻(読み)こまわり

精選版 日本国語大辞典 「小回・小廻」の意味・読み・例文・類語

こ‐まわり ‥まはり【小回・小廻】

〘名〙 (「こ」は接頭語)
① 食事の支度掃除など、日常の細かい仕事。
浄瑠璃・歌枕棣棠花合戦(1746)二「ほんにゑさし箒の出ぬさきに小廻りが大事じゃ、トリャ膳立を仕ませふ」
② 細かな身のこなし。
硝酸銀(1966)〈藤枝静男〉四「横浜育ちらしい小股の切れあがった小廻りのきく風姿と」
③ 車などが、小さな円をえがいてまわること。また比喩的に、情勢に応じてすばやく動くこともいう。「こまわりがきく」
能楽舞踊などでの型の一つ。一か所で小さく身体を回す型。
※虎明本狂言・長光(室町末‐近世初)「こまわりしてみ付て」
※紺野機業場(1969)〈庄野潤三〉二「もともと安宅は、俗に小まはりと云って、近海航路帆船の港であった」

こ‐まわし ‥まはし【小回・小廻】

〘名〙 (「こ」は接頭語)
① ちょっと気がきいていて小器用であること。また、そのさま。小取り回し。
駿台雑話(1732)四「其すがた下りていやしきのみならず、其用手せばくして広からず、小まはしにて、やすからず」
② (長距離を航海する大廻しに対して) 近距離を航海すること。〔勘定所勤方心得〕
③ 近世の海運で、長距離・大量輸送にあたった大廻し船に対して、近距離輸送にあたった小型廻船の総称。一般に一五反帆・二百石積以下の荷船が多いが、明確な限界はなく、また特定の船型をいうものでもないから、弁才船・五大力・五十集(いさば)・あだて・猪牙(ちょき)(=ただし関西地方で使用するもので江戸のそれとは別物)・団平(だんべえ)など、すべてこれに該当する。小廻し船。〔船法御定並諸方聞書(1724頃)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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