駿台雑話(読み)スンダイザツワ

デジタル大辞泉 「駿台雑話」の意味・読み・例文・類語

すんだいざつわ【駿台雑話】

江戸中期の随筆。5巻。室鳩巣むろきゅうそう著。享保17年(1732)成立朱子学立場から学術道徳を奨励した教訓的な随筆。

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精選版 日本国語大辞典 「駿台雑話」の意味・読み・例文・類語

すんだいざつわ【駿台雑話】

江戸中期の随筆集。五巻室鳩巣(むろきゅうそう)著。享保一七年(一七三二)成立。寛延三年(一七五〇)刊。朱子学の立場から学問道義を論じ、古今逸話を導入しつつ感慨を述べ、晩年主張を解りやすく解説した教訓的随筆の書。名文と評されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「駿台雑話」の意味・わかりやすい解説

駿台雑話
すんだいざつわ

朱子学者・駿台先生室鳩巣(むろきゅうそう)の江戸時代を代表する随筆集。仁義礼智(ち)信の各集五巻からなる。1732年(享保17)鳩巣75歳のとき、その前年に江戸・駿河台(するがだい)の居宅で諸生に語った雑話を書き集めたもので、同年自序が付され、没後の1748年(寛延1)に刊行された。朱子学を正学とする立場から当時流行の伊藤仁斎(じんさい)の古義学や荻生徂徠(おぎゅうそらい)の古文辞学を批判した。人としての生き方を平易温雅な和文で綴(つづ)って、話題は広く古今和漢の諸事にわたり、政治、道徳から風俗、学問、詩文、軍法にまで及んでいる。議論よりも実行を重んじ、人材の活用を説き、人心を活物(かつぶつ)ととらえるなど、本書に柔軟な姿勢が認められるのは、鳩巣の円熟とともに、そうした面を強調した仁斎や徂徠を意識してのことでもあろう。「後世に至って正学の開くる端にも」なればと執筆された本書が、初版以後、版を重ねて、とくに明和(めいわ)~寛政(かんせい)年間(1764~1801)の朱子学復興に影響を与えた点も見逃すことができない。

[高橋博巳]

『『駿台雑話』(『日本随筆大成第三期 第六巻』所収・1977・吉川弘文館)』

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改訂新版 世界大百科事典 「駿台雑話」の意味・わかりやすい解説

駿台雑話 (すんだいざつわ)

朱子学者室鳩巣が晩年に著した随筆集。1732年(享保17)成立。没後の50年(寛延3)刊行。5巻。駿河台の邸を来訪した門弟たちに語る体裁で,みずからの学問的経歴を述べた〈老学自叙〉や,著者の学問観,道徳観,人物評,古今の逸話等が教訓風に書かれている。仮名を交えた味のある文章で,名文と評されてもいる。著者の思想はもとより,当時の人物の逸話を知るうえでも役立つ書である。岩波文庫,《日本倫理彙編》所収。
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百科事典マイペディア 「駿台雑話」の意味・わかりやすい解説

駿台雑話【すんだいざつわ】

室鳩巣(むろきゅうそう)の随筆。5巻5冊。1732年成立,1750年刊。鳩巣が1731年春〜冬に駿河台(するがだい)の邸を来訪した弟子たちに語りかける体裁で,5巻を仁・義・礼・智・信に分けて,おのおの13〜18話から構成されている。朱子学の立場に立つ著者の学問観,道徳観のほか,当時の人物の逸話(いつわ)なども記される。江戸の代表的随筆の一つ。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「駿台雑話」の意味・わかりやすい解説

駿台雑話
すんだいざつわ

江戸時代中期の随筆集。5巻。室鳩巣著。享保 17 (1732) 年成立。著者 74歳の同 16年に弟子たちと語り合った話を収めたもので,朱子学の立場から武士道を鼓吹しようとしたもの。書名は,著者の家が江戸神田の駿河台にあったところから名づけられた。

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