四十二章経(読み)シジュウニショウキョウ(英語表記)Sì shí èr zhāng jīng

デジタル大辞泉 「四十二章経」の意味・読み・例文・類語

しじゅうにしょうきょう〔シジフニシヤウキヤウ〕【四十二章経】

原始経典。1巻。後漢迦葉摩騰かしょうまとう竺法蘭じくほうらん共訳仏教倫理を42章に分けて、教訓的に説いたもの。中国に伝わった最初の経典とされるが、疑経ぎきょうともいわれる。異本も多い。

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精選版 日本国語大辞典 「四十二章経」の意味・読み・例文・類語

しじゅうにしょう‐きょう シジフニシャウキャウ【四十二章経】

仏教経典として中国に最初に伝えられたとされる経典。後漢のとき、仏教を初めて中国に伝えた中インドの僧迦葉摩騰竺法蘭二人が、勅命によって洛陽白馬寺で訳したといわれるが、実際には中国で撰述されたとも考えられている。出家後の学問の道と日常生活について教訓したもの。全一巻四二章から成る。
蘭学事始(1921)〈菊池寛〉八「梵訳の四十二章経も、漸く今の一切経に及べり」 〔僧史略‐上〕

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改訂新版 世界大百科事典 「四十二章経」の意味・わかりやすい解説

四十二章経 (しじゅうにしょうきょう)
Sì shí èr zhāng jīng

中国の漢訳仏典の一つ。後漢の明帝のとき,迦葉摩騰,竺法蘭の2人が,勅によって訳した中国仏教最初の経典とされる。明帝が夢に金人の飛来をみて,使者を西域に派し,2人の西来に会うという,求法伝説と結びついていて,その史実には問題が残るが,内容はいずれも小乗的で,出家の功徳と持戒修行について説いて,仏教を道教儒教と融和させる意図が強く,後漢末より三国両晋時代に,中国に知られた諸仏典より,出家倫理を主とする42条の格言を集めたものとみるのが正しい。陶弘景の《真誥(しんこう)》に,道教の経典として引用されているのが注目される。ただし,中国初伝の経としての評価は,後代にも一貫して継続され,唐代以後,本文に改変を加えたいくつかの異本を生み,《宝林伝》にその全文が引用されるほか,《祖堂集》はこれを仏陀の成道最初の言葉とした。禅宗では,クマーラジーバ訳《遺教経(ゆいきようきよう)》と唐の《潙山警策》を合わせて,仏祖三経として尊重された。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「四十二章経」の意味・わかりやすい解説

四十二章経
しじゅうにしょうぎょう

中国に伝来された最初の仏教経典といわれ,仏教の要旨を 42章に分けて説いている。1巻。後漢の迦葉摩騰竺法蘭によって共訳された。

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