吹掛(読み)ふきかける

精選版 日本国語大辞典 「吹掛」の意味・読み・例文・類語

ふき‐か・ける【吹掛】

〘他カ下一〙 ふきか・く 〘他カ下二〙
① 風がはげしく吹きつける。物を付着させるように吹く。
※宇津保(970‐999頃)嵯峨院「うらかぜのことをふきかくる松山もあだしなみこそなをばたつらし」
② 息や口中のものを吹いて、対象にかける。
太平記(14C後)一二「柘榴を取てかみ摧き、持仏堂妻戸に颯と吹(フキ)懸させ給ければ」
けんかなどをしかける。しむける。
※東京風俗志(1899‐1902)〈平出鏗二郎〉下「酒に性根を乱して暴行を極め、喧嘩吹きかくれば」
④ 大げさにいう。誇大にいう。特に、値段を高くいう。ふっかける。
※東京年中行事(1911)〈若月紫蘭〉二月暦「客の様子次第で勝手の値段を吹(フ)きかけ」

ふっ‐か・ける【吹掛】

〘他カ下一〙 (「ふきかける(吹掛)」の変化した語)
[一] (「かける」は、覆うようにかぶせるの意) 息や口に含んだものを吹いてものにかける。また自動詞的に用いて、雨や雪などが激しく吹きつける。
咄本・座笑産(1773)はごのこ「酒を〈略〉ぐいと引っかけ、はごのこへ息をふっかけ」
[二] (「かける」は、動作作用を相手に向ける意)
① 誇大にいう。また、法外な要求をする。値段などを不当に高くいう。
浅草(1931)〈サトウハチロー〉浅草小話「ふっかけるのはいやだぜ、一枚なんて出すのはごめんだよ」
② 相手を困らせるように働きかける。喧嘩(けんか)などをしかける。
人情本・閑情末摘花(1839‐41)五「自己難題を吹(フッ)かけた所が」

ふき‐かけ【吹掛】

〘名〙 晒飴(さらしあめ)の玉を葦(あし)の管の先につけたもの。子どもがこれを買って、吹き広げて大玉にして遊ぶ。〔随筆守貞漫稿(1837‐53)〕

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