吹寄(読み)ふきよせ

精選版 日本国語大辞典 「吹寄」の意味・読み・例文・類語

ふき‐よせ【吹寄】

〘名〙
① 風などで吹き集めること。
② 種々のものを寄せ集めること。また、そのもの。
浄瑠璃・百合若大臣野守鏡(1711頃)三「磯山陰の吹よせをかきあつめ置きたる柏」
③ いろいろな落葉の形を模様としてつけた杯。
※狂歌・狂歌活玉集(1740)下「時雨ては落葉小紋の吹よせや扨は千草の染ちんであろ」
寄席芸の一つ。いろいろな種類の音曲から、一、二句ずつ抜き出し寄せ集めて、演奏するもの。
※東京風俗志(1899‐1902)〈平出鏗二郎〉下「ここに於いて音曲吹寄あり、今最も多く行はる」
⑤ 秋から冬にかけての献立に出る料理で、肉や野菜などのいろいろの材料を、風に吹き寄せられた木の葉のふぜいを出して盛ったものをいう。
⑥ 数種類の食べ物を一つの折の中に詰め合わせたもの。特に、佃煮や、あられ・おこしなどの菓子についていう。
※青井戸(1972)〈秦恒平〉「干菓子は透き漆のさわらの輪花盆に青と白の吹き寄せだった」
⑦ 天井の竿縁(さおぶち)垂木(たるき)格子障子の桟(さん)などを等間隔でなく二本または数本ずつ間隔を詰めて一組とし、組の間隔を広くして並べる方式。
⑧ 笛などを吹いて鳥を呼び集めること。
※遠乗会(1950)〈三島由紀夫〉「吹寄せ名人千鳥の笛を吹いた」

ふき‐よ・る【吹寄】

〘自ラ四〙
① 風が近い所を吹き通る。また、笛など吹きながら近寄る。
源氏(1001‐14頃)幻「木のめぐりに帳を立てて、帷子をあげずは、風もえ吹きよらじ」
② 風に吹かれて一方へ寄る。
※俳諧・俳諧新選(1773)二「月浮て吹よる水の夕すずみ〈無名氏〉」

ふき‐よ・せる【吹寄】

[1] 〘自サ下一〙 ふきよ・す 〘自サ下二〙 風などが吹いてくる。
風雅(1346‐49頃)春下・二四九「吹よする風にまかせて池水のみぎはに余る花のしら浪〈藤原為顕〉」
[2] 〘他サ下一〙 ふきよ・す 〘他サ下二〙 吹いて一方へおしやる。
※竹取(9C末‐10C初)「大納言南海の浜にふきよせられたるにやあらん」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報