吹回(読み)ふきまわし

精選版 日本国語大辞典 「吹回」の意味・読み・例文・類語

ふき‐まわし ‥まはし【吹回】

〘名〙
① 風の吹きぐあい。風向き加減
※夫婦(1904)〈国木田独歩〉三「風の吹(フ)き廻(マハ)しで月の光を覆うた雲が亦た天風に由て吹き払はれた」
② そのときの気分。そのときの調子。→風の吹回し
③ 風によって回転するように仕組んだ装置。かざぐるまなど。近世、風で動くように作った歌舞伎役者などの紋を笄(こうがい)かんざしなどにつけ、風に回転させて得意になる風習があったという。
浄瑠璃神霊矢口渡(1770)四「此笄(かんざし)の吹廻しの、紋迄なくして仕舞たと」
谷間などに起こる旋風。〔日葡辞書(1603‐04)〕

ふき‐まわ・す ‥まはす【吹回】

[1] 〘自サ五(四)〙 風が方向を定めないで吹く。気まぐれのように、風が吹く。また、激しく風が吹く。
※古郷帰の江戸咄(1687)六「魔風十方に吹(フキ)まわし、湯島をさしてもへ出」
[2] 〘他サ四〙
① 風が吹いて、物を回す。風がうず巻いて、物をただよわせたり回したりする。
※竹取(9C末‐10C初)「舟を海中にまかり入ぬべくふきまはして」
大言をはく。しきりに、ほらをふく。
浮世草子・傾城新色三味線(1718)三「局へくるよりあたりをふきまはさるる事、さては箱や成べし」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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