労(漢字)

普及版 字通 「労(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 7画

(旧字)勞
12画

[字音] ロウ(ラウ)
[字訓] つとめる・つかれる・ねぎらう・いたわる

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
(えい)+力。は庭燎、かがり火を組んだ形。力は耒(すき)の象形。聖火で、これを以て耒を祓ってから、農耕がはじまる。農耕のはじめと終わりとに、農具を清める儀礼があり、それで害虫を避けうると考えられた。火で清めることを勞といい、丹青を以て清めることを靜(静)という。爭(争)は上下から力(耒)をもつ形。これによって作物がえられるので、〔詩、大雅、既酔〕に「豆(へんとう)靜嘉」という句がある。嘉も加(耒と祝詞の器の(さい))に)を加え、祈りと声とで耒(力)を清める儀礼をいう。〔説文〕十三下に「劇しきなり。力と(けい)の省とに從ふ。火、冖(べき)を燒く。力を用ふるは勞す」というが、会意の意が明らかでない。また重文一字を録し、に作る。近出の〔中山王方鼎〕に心に従う字があり、また斉器の〔叔夷(しゆくいはく)〕にに作る字があって、「其の事に(きんらう)す」という。衣裳を聖火を以て清める魂振りの儀礼を示す字であろう。労は「労賜」「労賚(ろうらい)」のように、神の恩を受けることが原義。〔詩、大雅、旱麓(かんろく)〕「の勞するなり」の〔箋〕に「勞は勞來なり。佑助と言ふがごとし」とあり、「労賚」の意とする。のち転じてひろく事功・勤労の意となり、労苦労役の意となる。

[訓義]
1. つとめる、はたらく、すきたがやす。
2. しごと、ほねおり、農具をつかう。
3. つかれる、くるしむ、よわる。
4. ねぎらう、はげます、たすける、なぐさめる、いたわる、いたわりたまわる。

[古辞書の訓]
名義抄〕勞 イタハル・イタハシ・ツカル・ヤマシ・イタヅカハシ・ネギラフ・ツカマツル 〔立〕勞 ハチツカイタル・イタハル・ツカル・ワヅラフ・イタハシク・ヤマヒ・タシナム・クダカシム・イタミ

[声系]
〔説文〕に勞声として癆など三字を収め、また犖(らく)を勞の省声とする。癆は勞の繁文とみてよく、「労病」の意。撈(ろう)は〔方言、十三〕に「取るなり」とあり、漁撈のように用いる。

[語系]
勞・癆lは同声。癆は疲労。療()liは声近く、その疲労を療(いや)すことをいう。

[熟語]
労愛労畏労遺労慰・労逸労佚・労・労役労怨・労歌労駕労懈・労・労・労気労疚・労・労極・労勤・労苦労劬労懼・労・労軍・労形・労結・労・労謙・労・労遣・労工・労困・労労作・労思・労賜・労辞労疾・労者・労酒・労・労商・労情労擾労辱・労心・労臣・労神・労人・労悴・労瘁・労生・労積・労績・労損労憚・労徒・労動・労働・労頓・労農・労憊・労煩・労疲・労罷・労病・労弊・労勉・労満・労務・労問・労来・労・労賚・労力・労累・労労・労碌
[下接語]
慰労・加労・過労・久労・漁労・労・勤労・劬労・苦労・勲労・軍労・計労・労・賢労・功労・郊労・耕労・稿労・告労・暫労・思労・酬労・所労・書労・焦労・心労・辛労・神労・塵労・足労・存労・大労・聴労・徒労・伯労・博労・煩労・疲労・罷労・閔労・撫労・褒労・民労・問労・憂労・来労・累労

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報