日本大百科全書(ニッポニカ) 「八雲(町)」の意味・わかりやすい解説
八雲(町)
やくも
北海道南西部、渡島(おしま)総合振興局管内の町。渡島半島東岸にあり、内浦湾(噴火湾)に面する。1919年(大正8)町制施行。1957年(昭和32)落部(おとしべ)村を編入。2005年(平成17)、爾志(にし)郡熊石町(くまいしちょう)を合併し、山越(やまこし)郡から新設二海(ふたみ)郡の所属となる。JR函館(はこだて)本線、国道5号、277号が通じる。1878年(明治11)に尾張藩主徳川慶勝(よしかつ)が旧臣授産のため徳川家開墾試験場を設け、43戸が移住して開発が始まる。町名は、熱田(あつた)神宮の祭神でもある素戔嗚尊(すさのおのみこと)が詠んだ「八雲立つ出雲(いずも)八重垣……」による。町域の大部分は山地、丘陵であるが、沿岸は遊楽部(ゆうらっぷ)川、野田追川、落部川の沖積地と海岸平野からなる八雲平野が開け、耕地化している。酪農が盛んで、道南屈指の町営育成牧場がある。種子用ジャガイモ、トウモロコシ栽培、米作も行われる。漁業はホタテガイ、サケ、スケトウダラ、コンブ、カレイなどの漁獲がある。遊楽部川はサケの溯上(そじょう)と自然産卵で知られる。町内に塩化物泉の温泉が多くあり、落部川沿いには上の湯(かみのゆ)温泉がある。特産品に木彫り熊(くま)がある。面積956.08平方キロメートル、人口1万5826(2020)。
[瀬川秀良]
『都築省三著『八雲村の創業』(1968・徳川家開拓移住和合会)』▽『『八雲町史』上下(1984・八雲町)』