やま‐ごし【山越】
〘名〙
① 山や峠を越すこと。また、その場所。
※
万葉(8C後)一・六「山越乃
(やまごしノ)風
(かぜ)を時じみ寝る夜おちず家なる妹を懸けて偲ひつ」
※万葉(8C後)四・四九五「
朝日影にほへる山に照る月の飽かざる君を山越
(やまごし)に置きて」
③
蹴鞠(しゅうきく)のわざの一つ。
曲鞠(きょくまり)の
一種。
やま‐ごえ【山越】
〘名〙
① 山を越えること。また、その場所。
※
古今(905‐914)秋下・三〇三・
詞書「
しがの山ごえにてよめる」
※
源氏(1001‐14頃)
浮舟「おはしまさん事は、いと、荒き山ごえになん侍れど」
※
出発は遂に訪れず(1962)〈
島尾敏雄〉「伏し目になりながら山越えをしてくる
はだしの娘たちと」
※禁令考‐
別巻・棠蔭秘鑑・亨・二〇(1841)「関所を除山越いたし候もの并関所を忍通候御仕置之事」
やま‐こえて【山越】
枕 山を越えて
遠くの意で、「遠し」と
同音を含む
地名「遠津」にかかる。
※万葉(8C後)七・一一八八「山超而(やまこえて)遠津の浜の岩つつじ吾が来るまでに含(ふふ)みてあり待て」
やまこし【山越】
北海道南西部、
渡島(おしま)支庁の郡。渡島半島北部、
内浦湾に面する。明治二年(
一八六九)胆振
(いぶり)国の一郡として成立。大正一一年(
一九二二)渡島支庁の所属となる。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
山越
さんえつ
Shan-yue; Shan-yüeh
中国,後漢末から三国時代にかけて現れる異民族。浙江,江蘇,安徽,江西,福建などの山岳地帯に住み,勇猛で長く中国の王朝の威令に従わなかったが,江南に国を建てた呉がついにほぼ威令に服させるのに成功した。三国時代からあとはさほど注意をひく活動をしていない。漢の閩越 (びんえつ) などとの関係ははっきりしないが,三国時代の山越については,もともと山中にいた越人の子孫と,逃亡して山中に入った漢民族とをさすという説がある。
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世界大百科事典(旧版)内の山越の言及
【越族】より
…秦から漢にかけて甌越(おうえつ),閩越(びんえつ),南越がそれぞれ甌江,閩江,珠江の下流域に自立したが,漢の武帝に平圧された。山越は三国時代に丹楊(丹陽,江蘇省)を中心に活発に活動した。ソンコイ川流域に南下した駱越(らくえつ)は五代・宋初に独立してベトナム族として栄えた。…
※「山越」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」