不惜身命(読み)フシャクシンミョウ

デジタル大辞泉 「不惜身命」の意味・読み・例文・類語

ふしゃく‐しんみょう〔‐シンミヤウ〕【不惜身命】

仏語仏道修行のためには身命も惜しまないこと。死をもいとわない決意。「法華経」譬喩品などにある語。
[類語]懸命命懸け必死死に物狂い捨て身大わらわ躍起決死大車輪八面六臂一所懸命一生懸命全力総力死力渾身入魂全身全霊

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精選版 日本国語大辞典 「不惜身命」の意味・読み・例文・類語

ふしゃく‐しんみょう ‥シンミャウ【不惜身命】

〘名〙 (「法華経‐譬喩品」の「若人精進 常修慈心身命 乃可為説」による語) 仏語。仏道を修めるためには、あえてみずからの身命をもかえりみないこと。また、その心構え態度。一般に、仏道以外の物事についてもいう。⇔可惜身命(あたらしんみょう)。〔日蓮遺文‐御義口伝(1278)〕
咄本醒睡笑(1628)三「いかなる不惜身命の行者なれば、此の仏閣には住める」

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四字熟語を知る辞典 「不惜身命」の解説

不惜身命

仏道を修めるためには、自らの身も命も惜しまないということ。転じて一般に、自分の身をかえりみないこと。

[使用例] 我らは道を求め道に奉仕せんがために、不惜身命でなければならない。同時に自己の中に道のあかしを求むる者は、また極度にその身命を愛惜しなければならないのである[阿部次郎*三太郎の日記|1914~18]

[使用例] 天皇のため、祖国のため、喜んで一命を捨てるのは最高の美徳とされた。「不惜身命」は道徳の究極であった[亀井勝一郎*宗教と文学|1957]

[使用例] 不肖、私は、おやじに食われそこなって、いわば死んだも同然の体であります。不惜身命、死にもの狂いではたらく覚悟であります[開高健*ロビンソン末裔|1960]

[解説] 仏教ことばです。「きょう」の「ぼん」にはこうあります。
 「もし、ある人が修行にしょうじんし、常に慈悲の心を養い、身も命も惜しまないならば、その人に法華経を説きなさい」
 このうち「身も命も惜しまない」の部分が「不惜身命」です。
 このことばが有名になったのは一九九三年のことです。横綱昇進が決まったたかはなが、使者口上を述べました。
 「力士として不惜身命を貫く所存でございます」
 耳慣れない四字熟語が話題になりました。日本語学者の山田としは「用語の古色が、その若い人に似合わぬのを私は痛感する」と述べました。「不惜身命」を「貫く」という言い方も、ややこなれない感じがあります。
 力士の昇進口上では、それ以後も「けんにんばつ」など四字熟語が使われることがあります。ただ、ことばを言い間違える力士もあり、日常語から遠いものは避けられるようになりました。

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