四字熟語を知る辞典 「一衣帯水」の解説
一衣帯水
[使用例] 一衣帯水をなしているその対岸の島には、岡の麓に民家が一軒もなかった[井伏鱒二*さざなみ軍記|1938]
[使用例] 二本松
[使用例] 山口と堺は瀬戸内海の西と東。一衣帯水の間柄である。しかも西日本の物流の大動脈を押さえているのだから、交易や交流があるのは当たり前だった[安部龍太郎*五峰の鷹|2016]
[解説] 狭い川や海を隔てたごく近い関係、という意味合いで使われます。中国・南朝の歴史を記した「南史」には、
二国間の関係が注目を集める時期に、しばしば使われることばです。日韓基本条約締結の頃(1964~65)や、日中平和友好条約締結の頃(1977~78)には、国会の議論の中で「一衣帯水」の表現が特に多く使われました。
このことばは、区切り方も問題になります。意味上は「一衣帯+水」と切れます。「一衣帯(=一つの帯)ほどの水」ということだからです。一方、発音上は一続きに読むか、または「いちい、たいすい」と区切ります。
意味の切れ目と発音の切れ目には、よく食い違いが起こります。「五里霧中」は、「五里霧(=五里の霧)の中」ということなので、意味的には「五里霧+中」と切れます。でも、発音するときは「ごり、むちゅう」となります。
出典 四字熟語を知る辞典四字熟語を知る辞典について 情報