フク・ヒツ・やすらか・しずか・ひそか(漢字)

普及版 字通 の解説


8画

[字音] フク・ヒツ
[字訓] やすらか・しずか・ひそか

[説文解字]

[字形] 会意
宀(べん)+必。宀は屋。必は戚(まさかり)や斧などの(ひつ)部を含む刃器の形。その頭部を刃を下にして前におくのは、安寧を求める儀礼であろう。〔説文七下に字を必(ひつ)声とし、「安らかなり」という。〔段注〕にを密の初文とするが、金文に、両必を並べ、これに火を加える形の字があって、その字が密の初文。火を以て必を清める意で、密字の山はもと火の形である。金文に「宣(せんひつ)」の語があり、は必を拝する形であるから、必はそのような聖器であり、呪器であることが知られる。〔玉〕に「止まるなり。靜かなり。默するなり」の訓があり、また「今密に作る」というように密と声義が近い。密・(せき)も意象の相似た字で、は寂の初文。

[訓義]
1. やすらか、しずか。
2. ひそか、もだす。
3. とどまる。

[古辞書の訓]
〔字鏡集〕 モダ・アツシ・シヅカ・カクス・モテ・カタム・コマカ・ムツマジ・ヒソカ・トドム・チカシ・キビシ・シタガフ

[声系]
〔説文〕に声として密を収める。〔説文〕九下に密を「山の堂の如きなり」と山に従う字と解するが、金文は両必の下に火を加えて、これを修祓する形。と似た呪儀であるが、聖器を火で修祓する儀礼をいう。

[語系]
・密・謐mietは同声。〔説文〕三上に「謐(ひつ)は靜かに語るなり」とするが、(寧)と同じく、ものを供薦して祈り、安寧を求める儀礼であろう。の従うところは心、獣牲の心臓を盤に盛る形で、・密とは用いるところが異なる。

[熟語]

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報