ネディム(読み)ねでぃむ(英語表記)Ahmet Nedim

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ネディム」の意味・わかりやすい解説

ネディム
ねでぃむ
Ahmet Nedim
(1681?―1730)

オスマン帝国の宮廷詩人イスタンブールに生まれる。メドレセ(イスラム高等教育機関)で学んで法官となったが、華やかな「チューリップ時代」(1718~30)を表現する詩人として名声を博した。大宰相イブラヒム・パシャbrahim Paşa(?―1730)の庇護(ひご)を受け、多く宴席で詩をつくった。その作風は難解な宮廷詩の技法を駆使した華麗さを誇り、当時のイスタンブールの生活をよく伝えている。後世『ネディム詩集』(1922)が編まれた。

[永田雄三]

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改訂新版 世界大百科事典 「ネディム」の意味・わかりやすい解説

ネディム
Ahmet Nedim
生没年:1681-1730

オスマン朝のチューリップ時代を代表する宮廷詩人。アフメト3世の大宰相イブラヒム・パシャの庇護を受けて宮中に出入りし,裁判官,マドラサ教授,司書として仕えた。アラビア語・ペルシア語文献の翻訳のかたわら,スルタンへの頌詩抒情詩をものし,とりわけ後者は酒・恋・美女の悦楽をたたえて民衆にも好まれ,その多くは歌曲として歌われた。スルタンの失政に対するパトロナ・ハリルの乱の渦中に没した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ネディム」の意味・わかりやすい解説

ネディム
Nedim, Ahmet

[生]1681. イスタンブール
[没]1730. イスタンブール
オスマン帝国の宮廷詩人。法官の子として生れ,マドラサで教育を受ける。大宰相イブラヒム・パシャの保護を受け,法官,マドラサ教授を歴任し,イスタンブールの生活をうたった抒情詩や,スルタンへの賛辞詩でチューリップ時代 (1718~30) と呼ばれるヨーロッパ文化受容期の代表的詩人となった。『詩集』 Divân (20) がある。

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