日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジョージ(3世)」の意味・わかりやすい解説
ジョージ(3世)
じょーじ
George Ⅲ
(1738―1820)
ハノーバー朝第3代のイギリス王(在位1760~1820)。ジョージ2世の孫。大陸で育った先王と異なりイギリスで生まれた彼は、「愛国王」としての自覚をもち、1760年の即位以後、ホイッグ党の有力政治家を退けて親政を開始した。とくに治世初期の数年間は、自らの家庭教師であったビュート伯を重用し、次々と内閣を更迭したため、政界や世論の強い反発を買った。その間、ウィルクス問題や北アメリカ植民地課税問題がおこった。70年にノースを首相としてからは政局は安定をみたが、アメリカ独立革命を押さえることができず、合衆国の独立承認を余儀なくされた。83年にトーリー党のピット(小)を首相に任じて以後は、ピットのカトリック教徒解放政策を拒否するといったことはあったものの、政治の主導権を徐々に失っていった。晩年は精神に異常をきたしたため、1811年以降、皇太子が摂政を務めた。60年に及ぶ彼の治世中に、イギリスは産業革命を体験し大きく変貌(へんぼう)した。
[青木 康]