オオムギ(大麦)(読み)オオムギ(英語表記)Hordeum vulgare; barley

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オオムギ(大麦)」の意味・わかりやすい解説

オオムギ(大麦)
オオムギ
Hordeum vulgare; barley

イネ科越年草。原産地は中国大陸南西部といわれ,中国では数千年の栽培の歴史がある。大きな株になり,茎はよく分蘗 (ぶんけつ) して叢生する。高さ 1mぐらい。葉はコムギより幅が広く,緑白色でコムギのように先が垂れない。4~5月に穂を出し,小穂は長さ5~10cmの花穂の軸上に3個ずつ並んで密につき,上から見ると6列または4列になる。前者六条オオムギ H. vulgare var. hexastichon後者を四条オオムギ H. vulgare var. vulgareという。日本でも栽培の歴史は古く品種が多いが,関西以西では六条オオムギ系が多い。四条オオムギ系は外国でおもに栽培され,日本では東北や北陸に限られる。穎果が成熟すると内穎から容易に分離するものがあり,ハダカムギと呼ばれる。押麦として米飯に混ぜるほか,発芽させた麦芽 (モルト) をビール,飴類の糖化剤,味噌などに用いる。茎は麦わらでストローや帽子などに使う。

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百科事典マイペディア 「オオムギ(大麦)」の意味・わかりやすい解説

オオムギ(大麦)【オオムギ】

イネ科の一〜二年生作物。栽培史は全穀物中最も古く,古代エジプト,メソポタミア遺跡などに発見される。日本へは3―4世紀に渡来したと推定される。その穂の形から,六条種と二条種に大別され,前者は中国,後者は小アジア原産。また成熟粒が,穎(えい)と密着するものをカワムギ,容易に分離するものをハダカムギという。日本では醸造用二条種以外はほとんどが六条種。うちハダカムギが50%。北海道を除き,秋に播種(はしゅ),初夏に収穫する。近年,作付面積減少。主産地,佐賀,栃木。食用とするほか,みそ・しょうゆ原料,飼料とする。二条種はビールムギともいわれ,ビール,ウィスキー醸造用とする。
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