エチレングリコール(英語表記)ethylene glycol

翻訳|ethylene glycol

デジタル大辞泉 「エチレングリコール」の意味・読み・例文・類語

エチレン‐グリコール(ethylene glycol)

二価アルコールの一。無色で粘りけと甘みのある液体合成繊維合成樹脂原料自動車不凍液使用化学式(CH2OH)2 単にグリコールともいう。→グリコール

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精選版 日本国語大辞典 「エチレングリコール」の意味・読み・例文・類語

エチレン‐グリコール

〘名〙 (ethylene glycol) アルコール一つ。化学式 (CH2OH)2 単にグリコールともいう。無色で粘りけと甘みのある液体。不凍液、ポリエステル繊維の原料など。

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改訂新版 世界大百科事典 「エチレングリコール」の意味・わかりやすい解説

エチレングリコール
ethylene glycol

化学式HOCH2CH2OH。最も簡単な二価アルコール(グリコール)で,単にグリコールともいう。無色無臭の粘い甘みをもつ不揮発性の液体。融点-12.6℃,沸点197.85℃,比重0.9971(25℃)。水,アルコール,酢酸によく溶け,エーテルには溶けにくい。鉱酸やアルミナのような脱水剤触媒によってアセトアルデヒド,グリコールアセタール,ジオキサン,クロトンアルデヒドなどが生じ,酸化するとグリコールアルデヒドグリオキサールグリコール酸,シュウ酸になる。塩酸により160℃でエチレンクロロヒドリンが,200℃では塩化エチレンが生じる。エチレンCH2-CH2塩素と水を反応させてエチレンクロロヒドリンClCH2CH2OHとし,これを炭酸ナトリウム水溶液で加水分解すると得られる。工業的には,エチレンと酸素を反応させてエチレンオキシドとし,高温加圧下で水と反応させてつくる。

最大の用途は合成繊維やフィルムとして用いられるポリエチレンテレフタレートの製造原料で,ほかにアルキド樹脂の原料,不凍液,ニトログリコールとしてダイナマイトの製造などに用いられる。

 エチレングリコール2分子から水1分子がとれて縮合した化合物は,ジエチレングリコールHOCH2CH2OCH2CH2OH,3分子縮合した化合物は,トリエチレングリコールHO(CH2CH2O)2CH2CH2OHとよばれる。性質はエチレングリコールに似るが,沸点は高く,粘り気を増す。分子内にエーテル結合をもつので溶剤としての作用が強い。多分子重合したポリエチレングリコール粘稠な液体またはワックス状の固体である。
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化学辞典 第2版 「エチレングリコール」の解説

エチレングリコール
エチレングリコール
ethylene glycol

C2H6O2(62.07).HOCH2CH2OH.1,2-エタンジオール(1,2-ethanediol)ともいう.グリコール類のもっとも簡単なもの.実験室的製法では,1,2-ジブロモエタンを塩基で加水分解する.工業的には,エチレンオキシドを無触媒で大過剰の水存在下での水和によって製造する.甘味をもつ無色の粘ちゅうな液体.融点-13.0 ℃,沸点197.6 ℃.1.1088.1.43178.水,エタノール,アセトンに易溶,エーテル,ベンゼンに難溶.二つのヒドロキシ基をもつので,おもにポリエステル繊維および樹脂の製造に用いられる.ほかにダイナマイト,セロハン,不凍液などの用途がある.[CAS 107-21-1]

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百科事典マイペディア 「エチレングリコール」の意味・わかりやすい解説

エチレングリコール

化学式はHOCH2CH2OH。無色の液体。融点−12.6℃,沸点197.85℃。最も簡単な2価のアルコール(グリコール)。水,エタノールなどに易溶。合成繊維,接着剤,ダイナマイトなどの原料,不凍液などに用いられる。エチレンオキシドの水和によりつくられる。
→関連項目不凍液ポリエチレンテレフタレート

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エチレングリコール」の意味・わかりやすい解説

エチレングリコール
ethylene glycol

単にグリコールともいう。化学式 HOCH2CH2OH 。エチレンからエチレンクロロヒドリンを経て加水分解によって合成される。グリセリンに似て無色粘稠な甘味のある液体。沸点 197℃。吸湿性。水,アルコールには自由に溶け,エーテルには溶けにくい。工業的にはエチレンオキシドから製造される。アルキド樹脂や合成繊維,特にポリエチレンテレフタラートなどの原料,自動車エンジン不凍液に用いられる。またニトロ化してニトログリコールとし,ニトログリセリンと混合しダイナマイトの製造原料とする。

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栄養・生化学辞典 「エチレングリコール」の解説

エチレングリコール

 C2H6O2 (mw62.07).CH2OHCH2OH.常温で液体で,グリセロールに性質が似ており,諸種の目的に使われる.

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世界大百科事典(旧版)内のエチレングリコールの言及

【エチレン】より


[用途]
 1981年における日本のエチレン需要は約370万tであり,そのうちの約46%はポリエチレン製造用(高圧法ポリエチレン用が第1位で約28%を占め,さらに低・中圧法ポリエチレンが約18%)である。これに続いて塩化ビニル,アセトアルデヒド,エチレンオキシド,エチレングリコール,スチレンなどが重要な合成化学的用途である(95年のエチレン生産量は約700万t)。エチレンからの主要な誘導体は図1に示すとおりである。…

【グリコール】より

…2個の水酸基はそれぞれアルコールとしての性質をもち,隣合せの炭素に結合しているものを1,2‐グリコールといい,間にメチレン鎖-CH2-が増えていくにしたがって,1,3‐グリコール,1,4‐グリコール,1,5‐グリコールなどと呼ばれる。エチレングリコールHOCH2CH2OHのことを工業的にはグリコールと呼ぶことがある。重要なグリコールはほとんど粘度の高い無色の液体で甘味がある。…

【C₁化学】より

…シュウ酸ジエステルにはいろいろな合成化学的用途がある。水素還元すれば容易に,合成繊維原料として重要な中間体であるエチレングリコールを生成する。現在はエチレンの酸化反応によって生産されているが,エチレン価格の上昇と酸化反応の収率の向上があまり望めない,などの理由により,合成ガスからの製造法が待望されている。…

※「エチレングリコール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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