くっ付(読み)くっつく

精選版 日本国語大辞典 「くっ付」の意味・読み・例文・類語

くっ‐つ・く【くっ付】

〘自カ五(四)〙 (「くっ」は「くい(食)」が変化して接頭語化したものか)
① 歯でかみつく。食いつく。
洒落本・素見数子(1802)三「おめへはとんだふとっているの。此手をくっついてやりてへよふだ」
② ある物が他の物に離れないように付着する。ねばりつく。密着する。つく。
※志都の岩屋講本(1811)上「亦くすねとも通はして云ひ凡べて物のぴったりと。俗に云ふ。くっつくと云ふやうなことを云った詞と見えるでござる」
③ つき従う。従って味方する。
※歌舞妓年代記(1811‐15)九「今源氏へくっつきけいはくをひろぐやつ」
④ 人と人とが一緒になる。行動を共にする。特に、男女が親しくなって同棲する。
※洒落本・滑稽吉原談語(1802)一「はら立まぎれに、ひょっと又ほかのものにくっつかれちゃアならねへから」

くっ‐つ・ける【くっ付】

〘他カ下一〙
① あるものと他のものとを離れないように付着させる。すきまのないようにつける。
滑稽本浮世床(1813‐23)二「最う三十七八になるだろうが。まだ眉毛をくっ付(ツケ)てゐるナ」
② あるものと他のものとを関連させる。
※菊池君(1908)〈石川啄木〉三「菊池君が電車から降りる…否、〈略〉電車と菊池君を密接(クッツ)けるのは無理だ」
③ 従わせる。味方にする。
④ 男女を親密にさせ夫婦にする。できあわす。
大阪の宿(1925‐26)〈水上滝太郎〉九「男と女とは必ずくっつくものと思ひ、くっつける事にも多大の興味を持って居るお米は」

くっ‐つき【くっ付】

〘名〙
① くっつくこと。
② 「くっつきあい」の略。
花札手役一つ同種の札二枚ずつ三組を持つこと。みくっつき。
花間鶯(1887‐88)〈末広鉄腸〉上「どうだ君は出たか、なんだカラスだと。お前はなんだ、クッツキだと。是れは驚いた」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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