駿河志料(読み)するがしりよう

日本歴史地名大系 「駿河志料」の解説

駿河志料
するがしりよう

一〇八巻 新宮(中村)高平

成立 文久元年自序

写本 国立国会図書館(三〇冊)・静岡県立中央図書館(七二冊)ほか

解説 駿河国の地誌。高平は駿府浅間社の神官で、若い頃から興味をもって各地を歴訪していたが、職を子高景に譲ってからは本格的に駿河国内を探訪、七年の歳月をかけて完成させた。編纂にあたっては古典籍古文書などからは典拠を明記して引用し、里人や古老からの言伝えも現地踏査を踏まえて考証を加えている。構成は巻一から巻三までが総載、巻四以下巻六九までを各村の地誌にあてて郡ごとに編集し、巻七〇から巻九六まで古文書を郡別に収載、巻九七が古印・花押、巻九八から巻一〇三で島田の桑原藤泰の筆による各郡ごとの勝地真景図を収め、巻一〇四以下は河水図・巻一〇五―一〇六は古器、巻一〇七―一〇八が和歌となっている。総載では疆域、国郡郷の建置沿革、制度変革、国造・国司郡司、式内神社、国司・今川家・武田家歴名、城主次第、古代から近世の駅路を記している。とくに駅路については、足柄越路次の考、箱根越道次の考、水倉古駅の考、浮島原海道の考とそれぞれ考察を加えている。各村の地誌としては村名の読み、里程村高・神社、仏寺・名勝古蹟、山川産物等の項目をあげている。序文は田中藩主本田正訥・藤原春村が寄せている。

活字本 駿河志料(昭和五年・六年、昭和四四年復刊)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報